ザキさんと僕
【20xx年9月21日】

第1x回アジア競技大会に出場しているバスケットボール男子日本代表の灰崎祥吾選手が20日、現地で買春行為をして代表から追放処分となり、母国の「名誉を汚した」ことを謝罪した。灰崎選手は前週、代表の公式ウエアを着用したまま、インドネシアの首都ジャカルタの歓楽街に出かけてスキャンダルを起こし、4年に一度の大会に衝撃を与えた。

除名処分となったのは、日本プロバスケットボールのトップリーグでプレーする灰崎祥吾(Syogo Haizaki)。前回のアジア競技大会でも日本代表4名が売春行為で追放処分になり、前々回大会でも競泳男子プールサイドで報道陣のカメラを盗んだとして、選手団から追放されていたため、大きな恥さらしとなったのは記憶に新しい。今回の不祥事は、日本選手団に同行していた日本の記者が現地の歓楽街で灰崎選手を見かけたことで発覚したものだった。日本選手団団長によると選手村を離れて夕食を取った後、客引きに勧誘されて女性とホテルへ行ったとされている。

灰崎選手は20日に東京に戻ると、黒のネクタイとスーツで記者会見に臨んだ。その中で「自分の軽率な行為によって、バスケットボールファンだけでなく、日本の皆さんに恥をかかせてしまったことを深くおわびします」とコメントする一方で、再びバスケットボールをプレーすることは「考えられない」と語った。

 日本バスケットボール協会(JBA)会長は、灰崎選手の正式な処分について、弁護団による裁定委員会の報告を待って下すとコメント。日本代表選手団団長はジャカルタで報道陣に対し、「極めて残念な思い。おわび申し上げるとともに指導を徹底してまいりたい」と謝罪した。

「なにやってんだよ、ザキさん!」

電子版の速報を見てたまらず僕は叫んだ。日本代表の選考会から漏れてしまい、国内のリーグを戦いながら高校の先輩を応援していた僕からしたら青天の霹靂だった。でもそれは高校からバスケを始めた僕以外には周知の事実だったようでいつかやるとは思ってたと口々にLINEからコメントがくる。僕の知らないザキさんの悪行がだんだんと明らかになっていく。信じられなくてザキさんにLINEを送るとしくったという反省の色もない言葉が帰ってくる。どうやら更生したと思われていたのは隠し方が上手くなっていただけらしい。なんてことだ。たまらず僕はLINEを送る。

「よかったな、佐藤くーん。これで6番はてめーのもんだ」

「うれしくないよ、全然!僕は1度だってザキさんに勝ったことないのに!!」

「棚からぼたもちってな!二度と俺に勝てないままポジションに定着する気分はどうだよ、ざまあ」

「なんでこんなことしたんだよ、ザキさん!僕はアンタのこと尊敬してたのに!」

「んなの世界中でてめーだけだよ、佐藤」

その言葉を最後にザキさんからブロックされてしまう。悔しくて僕はそのまま自宅を後にしてザキさんのマンションに向かうことにした。一言言わなくては気がすまなかったからだ。

「あれ、空いてる?」

鍵が空いていた。まさか!嫌な予感がして僕は転がるように靴を脱いで部屋に駆け込んだ。

「ザキさん!」

「んだよ、うっせえな!また連れ戻しに来たのかよ、てめえ!」

「そうだよ、女癖が悪かったなんて知らなかったよザキさん!」

「だーかーらそれはっ......て誰だてめー!」

「へっ?」

「はあ?」

そこには随分若いザキさんがいた。あ、あれ?


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