ぱち、とフィーアは目を覚ました。
「大丈夫か、フィーア!」
「あ......誠也お兄ちゃんのお姉ちゃん」
「よかった、ほんとうによかった。意識が戻って。一体なにがあったか聞かせてくれないか?」
「......あのね」
姉から連絡があった誠也はようやく目を覚ましたフィーアから詳細を聞くことができた。どうやら観覧車で襲撃してきたのはSOLテクノロジー社であり、グレイ・コードの工作員のようだ。今、リンクヴレインズは精霊世界と繋がっているのだ。フィーアのように精霊たちと直接後身ができるタイプのサイコデュエリストがいては邪魔だったに違いない。なんてことだ、これさえ早く分かっていればもっと慎重に鬼塚さんに助言できたかもしれないのにと誠也は憤りを露わにする。
「......誠也お兄ちゃん、こわい顔してるよ。どうしたの?」
「僕のせいだ、僕のせいで鬼塚さんはSOLテクノロジー社やグレイ・コードにハメられてイグニスたちに捕まっちゃったんだ」
フィーアの瞳が揺れた。
「鬼塚のお兄ちゃんが?」
「うん、ごめんねフィーアちゃん。鬼塚さんはフィーアちゃんが意識を失ったことにすごく怒ってて、何とかしようとしてくれてたのに、僕何も出来なかったんだ」
「誠也お兄ちゃん泣かないで」
「フィーアちゃん......!」
「誠也お兄ちゃんまで泣いちゃったらフィーアまで悲しくなっちゃう。誠也お兄ちゃんならいつもはまだ出来ることはあるはずだって、大丈夫だっていってくれるよね?」
「フィーアちゃん......うん、ごめんね、ありがとう。もう大丈夫。僕らしくなかったね、僕は僕に出来ることをすべきだ。約束するよ、フィーアちゃん。僕は鬼塚くんの意識を取り戻してみせる。もちろん、アースくんの意識も」
「うん、頑張ってね、誠也お兄ちゃん。約束だよ」
和波はフィーアと小指を交えて指切りげんまんを口ずさむ。そしてフィーアからお守りを貰ってきた、とカフェナギにて遊作たちにチップを渡した。
「これは?」
「これはですね、フィーアちゃんがくれました。これで使用者のカード情報から精霊たちを探知して場所が特定できるそうです。お姉ちゃんとフィーアちゃんが力を合わせて頑張ってくれたんです。受け取ってください」
和波から受け取ったチップでデュエルディスクがアップデートされて行く。
「すごいわね、オカルトじみたものなのにここまで詳細がわかるなんて。使わせてもらうわ、ありがとう」
和波は笑ってうなずいたのだった。