VSミドラーシュ

ライトニングの敵対宣言からの逃走を逃がすまいと追いかけるplaymakerたち。ライトニングはビットブートを召喚した。そこにバウンティハンターたちまで押し寄せてきて、三つ巴となる。

「仕方ない、彼女の力も借りるとしようか」

ライトニングはアバターを複数出現させた。新手、いやそこにいたのは。

「やっとオリジナルのウィルスに感染したNPCアバターどものお出ましかよ。あんだけ探しても見つからねえわけだぜ」

そこには《エルシャドール・ミドラーシュ》をはじめとした、共通の世界観の中デザインされたテーマデッキのキャラクターたちの姿があった。

「なんでウィンちゃんやフィーアちゃんを狙ったんですか」

怒り心頭なワナビーにライトニングは笑うだけだ。

「グレイ・コードに聞いたらどうだ、私は関知していない」

「じゃあなんで君が召喚できるんですか!」

「ツヴァイからの友好の証だ。それ以上でもそれ以下でもありはしない」

「っ......この!」

「君たちの相手は私ではないだろう」

過ぎ去る風に粘着性を感じる。白い空間に黒い影が過ぎ去る。己が紡いだ糸の上を軽やかにかけていく。

「君が相手というわけですか。君がプログラムのオリジナルだとしたら、この子がウィンちゃんの......!」

「そういうことだな、戦う理由としちゃ充分じゃねえか、足止めにつかうなんざ胸糞わりぃがな!」

ワナビーが少女と対峙する。

「敵影を確認、戦闘態勢に移行します」

無機質なまま呟かれた言葉。スピードデュエルを挑まれたワナビーは、臨むところです、と息巻いた。

その瞬間に糸が走る。今まで以上に白い意図が張り巡らされ、まるで白く輝くホールだった。playmakerたちの声が聞こえたがどうやら閉じこめられてしまったようである。

「ブラッドシェパードみたいなトラップ使いますね、君」

ワナビーの言葉に《エルシャドール・ミドラーシュ》は答えない。

「それも含めて、追求させてもらいますからね!」

ワナビーはデッキからカードを5枚手にしたのだった。

「私のターン、手札から魔法カード《影依融合》を発動。デッキから《シャドール・ドラゴン》《エクリプス・ワイバーン》を融合!《エルシャドール・ネフィリム》を融合召喚!」

「いきなり来ましたね、《シャドール》のエース!」

「《早すぎた埋葬》により《エクリプス・ワイバーン》を墓地に送り、モンスター効果を発動。《ダーク・アームド・ドラゴン》をデッキから除外」

ここから《シャドール》の展開が始まる。《シャドール・リザード》と《シャドール・ヘッジホッグ》のコンボ、《エクリプス・ワイバーン》と《暗黒竜 コラプサーペント》のコンボにより《ダーク・アームド・ドラゴン》が特殊召喚される。気づけば最終盤面は《エルシャドール・ネフィリム》《ダーク・アームド・ドラゴン》《暗黒竜 コラプサーペント》《シャドール・リザード》となっていた。

HALは笑う。

「ターンの選択を誤りやがったな!それは後攻にすべきだったぜ。ほら、ワナビー見せてやれよ!」

「いわれなくてもわかってるよ!僕のターン、ドロー!僕は魔法カード《予想GUY》で《星杯に誘われる者》を特殊召喚し、リンク1《星杯竜イムドゥーク》をリンク召喚します!モンスター効果により通常召喚を2度することができるので、手札の《星杯を戴く巫女》と《レスキュー・フェレット》を通常召喚!そして《星杯竜イムドゥーク》と《星杯を戴く巫女》をリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク2で《星杯剣士アウラム》!」

ワナビーはさらなる展開を続ける。

「《レスキュー・フェレット》をデッキに戻してモンスター効果を発動。《終末の騎士》と《星杯の妖精リース》をアウラムのリンク先に特殊召喚します!《終末の騎士》のモンスター効果で《ゾンビキャリア》を墓地に送り、《星杯の妖精リース》の効果で星杯モンスター1体を手札に加えます!そして《ゾンビキャリア》の効果を発動して先ほど加えたカードをコストに墓地から特殊召喚!」

ワナビーのフィールドに特殊なエフェクトが発動する!

「僕はレベル1《ゾンビキャリア》にレベル3《星杯の妖精リース》をチューニング!シンクロ召喚!レベル4《古神クトグア》!さあ、まだまだいきますよ!《終末の騎士》と《星杯剣士アウラム》をリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク3《暴走召喚師アレイスター》!!《召喚魔術》を手札に加えます!」

ワナビーの展開は止まらない。

「魔法カード《召喚魔術》を発動!《暴走召喚師アレイスター》と《終末の騎士》で融合召喚!《召喚獣カリギュラ》!!さらに《古神クトグア》と《召喚獣カリギュラ》で《外神ナイアルラ》をエクシーズ召喚。1枚ドローです!さらに《外神ナイアルラ》をランクアップエクシーズチェンジ!《外神アザトート》!!このカードがエクシーズ召喚に成功したターン、相手はモンスターの効果を発動できません。さらにこのカードが融合・シンクロ・エクシーズモンスターを全てエクシーズユニットとしている場合、このカードのエクシーズユニットを1つ取り除いて発動できる。相手フィールドのカードを全て破壊する!さあ、これで終わりです!」










怪盗やガンマンをモチーフとしたハットとマント、義手の出で立ちをしたアバターがやってくる。後ろから同業者がやってくるが鬼塚の姿はなかった。どうやら財前部長から別件を頼まれておりつかまらなかったようだ。ハノイの騎士から送りつけられた映像にあるイグニスたちを追う指名手配中のplaymakerたちとくればバウンティハンターも横入りするしかないのである。

ブラッドシェパードはいつになく苛立っているようだった。自分の知らないところで事態が進展し、イグニスたちが対立しているのが気に食わないようだ。くだらない、関係ない、どちらも捕まえてしまえと目的のためなら手段を選ばず、LINKVRAINSで禁止されている他ユーザーへの直接攻撃を行えるようプログラムの改造している義手に仕込まれたエネルギー弾を発射した。AIを一切信用していないブラッドシェパードからすれば、playmakerたちとイグニス、ハノイの騎士の対立などどうでもいいのだ。

そんな中ブラッドシェパードは薄ら寒さを覚えた。

一面に広がる人工知能搭載のアバターたち、しかもイグニスお手製。それだけで虫酸が走る。そこにどこか身に覚えがある顔を見つけてブラッドシェパードはますます顔を歪ませた。リンクヴレインズに蔓延しているデッキ書き換えウィルスに感染しているアバターと同じ反応を検知したとデュエルディスクが叫ぶのだ。

SOLから提供されているアバターも感染して身内のバウンティハンターまでデッキを書き換えられたのは記憶に新しい。そうか、こいつが。こいつがplaymakerたちを捕獲しようとしたとき横槍を入れてきたどこかのハッカーによる妨害の正体か。ライトニングと呼ばれているイグニスにより呼び出されたNPCたちは不用意にちかづけばまた感染してしまう。ならば。

ビットブートとかいうふざけたやつらと共に襲撃しにきた者達にブラッドシェパードはエネルギー弾を発射した。

(グレイ・コードがあのイグニスたちを後方支援しているのか。にしてはあのとき早すぎたな......内通者がいるのか?)

ライトニングの発言を拾ったブラッドシェパードはNPCの一体のデータプログラムを捕獲した。雇い主のSOLテクノロジー社にも不信感が芽生え始めていたブラッドシェパードは、持ち帰ってグレイ・コードの潜伏先を特定するヒントになるだろうと思ったのだ。ブットビートたちをエネルギー弾で一網打尽にしながら殲滅していく。playmakerたちを追いかけてすぐに後を追いかけたのだった。
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