デュエル日和

先攻はsoulburnerだった。

「あの時のデッキなんだね、soulburner」

「まあな、スピードデュエルはこのデッキで必死に覚えただけはあるぜ」

「そうなんだ。残念だけどボクは違うんだよね。あの頃のデッキはスピードデュエルを組み込んだバニラデッキだったからさ。今はちかうよ」

「へえ、なら見せてみろよ」

「いいよー!今のボクは機嫌がいいんだ。新しいギミックいれたばかりだからね!試したくて試したくてたまらないんだよ。さあ、ボクのターン、ドロー!」

ゴーストはに、と笑う。

「《魔境のパラディオン》を攻撃表示で通常召喚!」

「……たしかに知らねえカードだな」

「開け、未来に導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は《マギアス・パラディオン》以外の《パラディオン》モンスター1体!ボクは《魔境のパラディオン》1体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1《マギアス・パラディオン》!」

「いきなりリンク召喚だと!?」

「ここでボクは手札の《百獣のパラディオン》のモンスター効果を発動だ!《マギアス・パラディオン》のリンクマーカ先にパラディオンモンスターを守備表示で特殊召喚するよ。おいで、《百獣のパラディオン》!さらに《マギアス・パラディオンの効果でリンク先に効果モンスターが特殊召喚された場合にデッキから《パラディオン》モンスター1体を手札に加えるよ!《星辰のパラディオン》をサーチだ!」

あっというまに盤面が整っていく。

「アローヘッド確認!召喚条件は《パラディオン》モンスターを含む効果モンスター2体!ボクは《マギアス・パラディオン》と《百獣のパラディオン》でリンク召喚!リンク2《レグレックス・パラディオン》!」

『嫌な予感がしてきたな』

「奇遇だなあ、俺もだよ不霊夢」

「なら是非とも現実にしなくちゃね!さらに手札から《星辰のパラディオン》のモンスター効果を発動!《レグレックス・パラディオン》のリンク先に守備表示で特殊召喚!《星辰のパラディオン》の第2のモンスター効果により、《百獣のパラディオン》をサルベージするよ!ここで《レグレックス・パラディオン》のモンスター効果を発動!このカードのリンク先に効果モンスターが特殊召喚された場合にデッキから《パラディオン》魔法・罠カード1枚を手札に加えることができるんだ!ボクは《リユナイト・パラディオン》をサーチ!」

ゴーストはとまらない。soulburnerのデッキが見慣れたものだからなのだろう、展開を阻害するカードはないとわかっている身内デュエル特有の容赦のなさである。

「アローヘッド確認!召喚条件はリンクモンスターを含む効果モンスター2体以上!ボクはリンク2《レグレックス・パラディオン》と《星辰のパラディオン》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク3《アークロード・パラディオン》!ここでリンクマーカ先に《天穹のパラディオン》を特殊召喚するよ。これで準備は完了だ!」

にいっとゴーストは笑う。soulburnerは顔を引きつらせた。この笑い方はよからぬことを企んでいる時だとこないだ学んだばかりである。

「ボクは手札から《海亀壊獣ガメシエル》のモンスター効果を発動!相手フィールドのモンスター1体をリリースし、手札から相手フィールドに攻撃表示で特殊召喚できる!君のフィールドに特殊召喚!」

「い゛っ!?んなのありかよ!」

「ありだよ、そういうデッキだからね!《壊星壊獣ジズキエル》 は相手フィールドに《壊獣》モンスターが存在する場合、このカードは手札から攻撃表示で特殊召喚できるんだ。
ボクはリンクマーカ先に特殊召喚!《天穹のパラディオン》の効果で《アークロード・パラディオン》を対象に与える戦闘ダメージを倍にするよ!さらに《リユナイト・パラディオン》発動!《アークロード・パラディオン》の攻撃力はリンクマーカ先に存在するモンスターの元々の攻撃力分アップするから、攻撃力は9600!さあ、バトルだよsoulburner!」

特大のダメージがsoulburnerに襲いかかった。戦闘ダメージが7400ダメージ×2で14800ダメージでゲームエンドである。







『君の友達はとんでもないやつだな、soulburner』

「それ一番俺が思ってることだからな、不霊夢。まさかこんなテンション高いやつだとは思わなかった。あんなに泣き虫だったのに」

『10年もたてばキャラが変わってもおかしくないってことか』

「なにがあったんだよ……」

soulburnerはため息である。ロスト事件の半年間の交流で得た友人の面影はあれども正反対といっていい豹変ぶりには驚くしかない。リンクヴレインズがメンテナンス中で暇だからってこっちがログインしたら約束もしてないのに飛んでくるのはちょっとひいてしまう。

パーソナル情報ぬかれるし。たしかにデュエルで負けたら情報が得られるが限度にもほどがあるだろう。だがゴーストがいうには彼の言うリストはそのパーソナル情報のリストだというのだ。後から調べたら指名手配されて当然の所業の数々である。soulburnerは頭をかかえた。

『噂をすればなんとやらだ、さっそくご指名だぞ』

「またかよ、まあべつにいいけどさ」

デュエルディスクに、デュエルの申し込みメッセージが飛んでくる。始めたばかりのリンクヴレインズだ。勝手がわからないsoulburnerにはありがたい話である。

『soulburner』

「ん?」

『今度は勝てよ』

「言われなくてもわかってるよ!後攻ワンキルのトラウマえぐるんじゃねえ!」

声を荒げるsoulburnerに不霊夢はやれやれと肩をすくめたのだった。
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