playmaker視点

剛鬼を使っていたバウンティハンターに突如異変が起こった。


「なんだ………?」


デュエルに勝利したはずなのにデュエルが終わらないのだ。しかも相手はログアウトせずに立ち塞がってくる。さすがにplaymakerは何度もデュエル画面を確認した。鬼塚より経験が浅い相手はplaymakerの敵ではなかった。SOLテクノロジー社が公式に雇った者たちだ、カードバンクの解放といったあらゆる優遇を受けているといっていい。これからの警戒を促すには十分だった。どういうことだと焦っていた思考を呼び戻したのはアイの叫びだった。


「おいおいおい、失敗したからっていきなりルール変えるなよ!」


そしてようやくplaymakerは気づくのだ。マスタールールのはずがいつのまにか2勝先取のルールに変更されている。公式大会に使用されているルールだ。


「なんでもありかよ、こらー!」


playmakerは眉を寄せた。鬼塚たちはこんなことしてこなかった。やはり彼らは彼らで思うところがあったのかもしれない。


「くるぞ、playmaker様!」

「わかっている!」


GO鬼塚ではない男が扱う剛鬼だ、最長でも3カ月の使用期間のバウンティハンター相手に負ける気はしない。そう思っていた矢先、相手に渡った先攻にて初動のカードが全く違った。


「《終末の騎士》だと!?」


さすがにplaymakerは驚きを隠せない。サイドデッキは15枚だ、デッキ内容をガラッと変える戦法もなくはないがバウンティハンターが使用しているデッキは、まさしく昨日ワナビーがデュエルしたグレイ・コードのウィルスに感染したアバターの使用デッキそのものだったのである。幸いワナビーのデュエルログはこのバウンティハンターが来る前にsoulburnerと確認作業がすでに終わっている。なにもわからないままデュエルするわけではない。だがこちらが感染することはないが気をつけなければならない。負けるわけにはいかないのだ、soulburnerを助けなくてはならないのだから!


相手は初戦と違い、恐ろしいほど静かにデュエルを行なった。


フィールド魔法《オルフェゴール・バベル》を発動した状態で、右側のエクストラモンスターゾーンに《トポロジック・ボマー・ドラゴン》、その左下に《オルフェゴール・ロンギルス》、墓地に《オルフェゴール・ディヴェル》と《オルフェゴール》モンスターを並べてきたのだ。制圧する気満々の殺意に満ちた盤面である。


ターンを渡されたplaymakerは苦境に立たされた。フィールド魔法《オルフェゴール・バベル》は《オルフェゴール》モンスターを相手ターンでも動かしてしまうのだ。《オルフェゴール・ディヴェル》のモンスター効果を発動し、デッキから《オルフェゴール・スケルツォン》を特殊召喚。さらに《トポロジック・ボマー・ドラゴン》のモンスター効果が起動し、メインモンスターゾーンの全てのモンスターを破壊されてしまった。この時、《オルフェゴール・ロンギルス》はリンク状態なので効果で破壊されずフィールドに残るのだ、凶悪なコンボである。playmakerは再度展開をこころみたが、《オルフェゴール・スケルツォン》のモンスター効果で、墓地の《オルフェゴール》モンスターを特殊召喚し、ここでまた《トポロジック・ボマー・ドラゴン》のモンスター効果が起動し、メインモンスターゾーンの全てのモンスターを破壊されてしまった。


この制圧コンボは、《オルフェゴール・ロンギルス》がいない場合も成立するえげつないものだ。しかし今回は最悪なことに《オルフェゴール・ロンギルス》もいる。playmakerのエクストラモンスターゾーンの展開も妨害してくるのだ。《オルフェゴール・ロンギルス》は、リンク状態のモンスターを墓地に送る効果を持っており、リンク先はもう一方のエクストラモンスターゾーンに向いている。おかげで半端な盤面しか作ることができなかった。


相手は容赦なくplaymakerに襲いかかる。playmakerは懸命に打開策を探った。


《オルフェゴール》モンスター自体には耐性が心許ない。戦闘耐性と効果耐性を持っているがそれだけだ。《オルフェゴール・コア》があれば対象耐性も付与できるが、今回は手札にないのかバックは薄い。それにフィールド魔法だよりなところがある。起動効果を相手ターンでも使用可)にするには《オルフェゴール・バベル》に頼る必要があり、《オルフェゴール・ガラテア》で持ってこれるので、安定して運用できそうにも見えるが、妨害、破壊されたら終わる。

このあたりをつくことができれば突破口となるだろう。playmakerのターンがやってきたとき、これ以上なく気合いがはいる。アバターのパーツが呼応して発光しはじめる。指先まで到達した光の先にカードをみたplaymakerはドローを宣言した。

(きたか!)

いつになく口もとがつり上がる。playmakerは前を見据えた。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -