vs魔王ノイド

空を埋め尽くす巨大な機械の核と思われるコアが内側から弾け飛び、なにかが飛び出してきた。動力源を失った機械は墜落し、大地が震える。視界一面が砂埃に覆われてたかと思うと、その巻き上げられた砂塵の向こう側には、無数の糸の餌食になっている機械が見えた。

「うわ」

思わず声が出てしまう。ゆっくりと機械が侵食され、《シャドール》のモンスターによく似た造形の化け物が形成されていく。そこには弱肉強食の世界がたしかに存在していた。

「これで終わりかな?」

Dボードに乗ったまま息を吐いた和波だったが、すぐにそれは間違いだと気づいた。

「今度はなんだよう」

たまらず弱音が出てしまう。和波の目の前には、先程《クリフォート 》から噴出した謎の光が迫り来ていた。

「《インフェルノイド》……?」

知らないテーマカテゴリである。だがデュエルを挑まれた以上、逃げるわけにはいかない。

「僕が先攻ですね。僕は《星杯の妖精リース》を通常召喚してモンスター効果を発動します。《星遺物−『星杯』》をサーチします。このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できます。デッキから《星杯》モンスター1体を手札に加えます。そして、《星杯の妖精リース》をコストに魔法カード《トランスターン》を発動しますね!」

和波の頭上に緑のカードが出現する。

「自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を墓地へ送って発動できます。墓地へ送ったモンスターと種族・属性が同じでレベルが1つ高いモンスター1体をデッキから特殊召喚します。僕はデッキから《創造の代行者 ヴィーナス》を攻撃表示で特殊召喚!」

そして和波はライフポイントを500ずつ支払い、《神聖なる球体》を3体デッキから守備表示で特殊召喚。これでリンク召喚のリソースが出来たと動き始める。

「開け、未来に導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は通常モンスター1体!僕は《神聖なる球体》1体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク1《星杯竜イムドゥーク》!このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに《星杯》モンスター1体を召喚できます。ここで《神聖なる球体》1体をリリース、アドバンス召喚!《星遺物−『星杯』》!」

和波は着々と準備を整える。

「再び現れろ、未来に導くサーキット!アローヘッド確認!召喚条件は《星杯》モンスター2体!僕はリンク1《星杯竜イムドゥーク》と《星遺物−『星杯』》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン!リンク召喚!リンク2《星杯剣士アウラム》!」

エクストラゾーンに降り立つ勇者を確認し、和波はカードをかかげる。

「フィールドを離れた《星遺物−『星杯』》のモンスター効果を発動です。通常召喚した表側表示のこのカードがフィールドから離れた場合にデッキから《星遺物−『星杯』》以外の《星杯》モンスター2体を特殊召喚します。《星杯に誘われし者》2体をデッキから特殊召喚!」

和波の前にリンク召喚とは異なる特殊召喚のエフェクトが迸る。

「僕はレベル4《星杯に誘われし者》2体でオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!ランク4《ダイガスタ・エメラル》!まだまだいきますよ!3体目の《神聖なる球体》をリンクマーカーにセット!リンク召喚!リンク1《星杯竜イムドゥーク》!ここで《ダイガスタ・エメラル》のモンスター効果を発動!ターンに1度、このカードのエクシーズユニットを1つ取り除き、自分の墓地のモンスター3体を対象として発動できる。そのモンスター3体をデッキに加えてシャッフルし、自分はデッキから1枚ドローします。僕は墓地の3体の《神聖なる球体》をデッキに戻して1ドロー!これで《創造の代行者 ヴィーナス》の効果をまた使えるようになりました!」

ここから怒涛の連続特殊召喚が始まる。《ダイガスタ・エメラル》と《神聖なる球体》で《星杯神楽イヴ》をリンク召喚した和波は、《神聖なる球体》で《星杯竜イムドゥーク》を連続リンク召喚。場が空いたのでデッキに戻した《神聖なる球体》を特殊召喚。《創造の代行者 ヴィーナス》と《神聖なる球体》で《プロキシー・ドラゴン》をリンク召喚。

「僕はリンク2《プロキシー・ドラゴン》と《星杯竜イムドゥーク》でリンク召喚!リンク3《星杯戦士ニンギルス》!リンク先に星杯モンスターが3体いるので3枚ドローです!」

さらに墓地の《星杯の妖精リース》の効果を発動。手札に回収し、《星杯戦士ニンギルス》と《星杯竜イムドゥーク》で《ファイアウォール・ドラゴン》をリンク召喚。そして、墓地に行った《星杯戦士ニンギルス》の効果を発動。手札に回収した《星杯の妖精リース》を早速特殊召喚し、ここで《星杯剣士アウラム》の効果を発動。墓地の《星杯戦士ニンギルス》を蘇生する。《ファイアウォール・ドラゴン》効果を発動し、《星杯に誘われし者》2枚を手札に回収。《星杯剣士アウラム》と《星杯神楽イヴ》でもう1体の《ファイアウォール・ドラゴン》をリンク召喚。素材に使って墓地に行った《星杯剣士アウラム》と《星杯神楽イヴ》の効果発動し、手札に回収した《星杯に誘われし者》2体特殊召喚。2体目の《ダイガスタ・エメラル》を特殊召喚。効果で1ドローすることで、合計5枚ドローしたことになる。展開した後には手札枚数は7枚になっている。

「これで僕のターンは終わりです」






和波のターンが終わると、禍々しい光は輪郭をあらわにし始めた。そしてドローを宣言する。

『魔法カード発動、《名推理》。相手は1〜12までの任意のレベルを宣言する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る』

促された和波は考える。どんなテーマカテゴリかはわからないが、わざわざこのカードを使うということは、通常召喚できない効果を持ったモンスターだらけであり墓地からの特殊召喚を狙って墓地肥やしをしたいテーマのはずだ。たとえばレベルが高いモンスターが多いとか。なら墓地肥やし効果があるモンスターも入っているに違いない。その効果があるテーマといえば《ライトロード》。レベル3や4のカードは多いから、それが当たれば墓地肥やしは終わるのだ。

「えっと、じゃあレベル4で」

すさまじい勢いで墓地が肥えていく。そして、レベル4《ライトロード・アサシン ライデン》が特殊召喚されて残りは全て墓地に送られた。

『さらに魔法カード《隣の芝刈り》を発動。自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る』

和波は顔を引きつらせた。和波のデッキと同じくらいになったということは上限ギリギリのデッキ枚数だったのが一気に半分以下になったも同然である。大量の墓地肥やしをしてからの上級モンスターを墓地から特殊召喚していくのではないかと考えていた和波には悪夢に等しい展開だ。

『フィールド魔法《暗黒世界-シャドウ・デストピア》の効果を発動。フィールドの表側表示モンスターは闇属性になる。さらに1ターンに1度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター1体をリリースできる」

「なあっ!?」

「《悪王アフリマ》を通常召喚。自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。自分はデッキから1枚ドローする。この効果を発動するためにこのカード以外の闇属性モンスターをリリースした場合、ドローする代わりにデッキから守備力2000以上の闇属性モンスター1体を手札に加える事ができる。ここで《暗黒世界-シャドウ・デストピア》の効果により、相手モンスターをリリースすることができる。《ファイアウォール・ドラゴン》をエクストラデッキにバウンス」

「うわあっ」

「さらに《闇黒の魔王ディアボロス》をサーチ」

そして墓地からモンスターを除外し、《インフェルノイド》モンスターが姿を現した。

《インフェルノイド・ネヘモス》

このカードは通常召喚できない。自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター3体を除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。

(1):このカードが特殊召喚に成功した時に発動できる。このカード以外のフィールドのモンスターを全て破壊する。

《インフェルノイド・リリス》

このカードは通常召喚できない。
自分フィールドの全ての効果モンスターのレベル・ランクの合計が8以下の時、自分の手札・墓地から「インフェルノイド」モンスター3体を除外した場合のみ手札・墓地から特殊召喚できる。

和波はなにもできなかった。《インフェルノイド・リリス》には1ターンに1度、このカード以外のモンスターの効果が発動した時、自分フィールドのモンスター1体をリリースしてその発動を無効にし除外する効果がある。しかもフィールド魔法のせいで発動コストは相手フィーのモンスターなのだ。和波は一瞬で吹き飛んだフィールドに呆然とするしかない。

『発動、魔法カード《煉獄の虚夢》。1自分フィールドの元々のレベルが2以上の《インフェルノイド》モンスターは、レベルが1になり、相手に与える戦闘ダメージは半分になる。表側表示のこのカードを墓地へ送って発動できる。自分の手札・フィールドから、《インフェルノイド》融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドにのみ存在する場合、自分のデッキのモンスターも6体まで融合素材とする事ができる』

そしてモンスターが降臨した。

《インフェルノイド・ティエラ》

融合・効果モンスター

星11/炎属性/悪魔族/攻3400/守3600

このカードが融合召喚に成功した時に発動できる。その融合素材としたモンスターの種類によって以下の効果を適用する。

今回は3種類以上を適用。

お互いはそれぞれ自分のエクストラデッキからカードを3枚選んで墓地へ送る。

フィールドだけでなくエクストラゾーンまでメタメタにされる。もう起死回生の一手すら残されてはいなかった。

相手はこのモンスターを素材にリンクモンスターを召喚し、さらにレベルの合計が8になるまで《インフェルノイド》を展開する。しかも墓地にはノイドが5〜6枚たまっている、らそれを使ってほかの《インフェルノイド》を特殊召喚し、後は無効効果とパワーで圧倒する。和波は視界が真っ暗になった。
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