さよならのかわりに11
ゴーストのフィールドには《魔弾の射手 ザミエル》、《魔弾の射手 スター》、守備表示の《魔弾の射手 カスパール》がいる。


「俺のターン、ドロー!俺は魔法カード《貪欲な壺》の効果を発動!自分の墓地に存在するモンスター5体をデッキに戻し、シャッフル!その後、2枚ドローする」


playmakerの頭上に表示されたモンスターたちが次々とデッキ、もしくはエクストラゾーンに戻っていく。そしてモンスターを召喚し、トークンを生成した。


「慎重にくるねえ、《魔弾の射手 ザミエル》の縦列かあ」

「当然だろう。考え無しに発動したら、《魔弾》の格好の餌食だ。こい、未来に導くサーキット!アローヘッド確認、召喚条件はモンスター2体!俺はトークン2体をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク2《プロキシー・ドラゴン》!」


さらにトークンを生成したモンスターもリンクマーカーにセットし、リンク3のモンスターを呼び出す。


「俺は《リンク・インフライヤー》のモンスター効果を発動!フィールドのリンクモンスターのリンク先に守備表示で特殊召喚する!アローヘッド確認、召喚条件はトークン以外のモンスター2体、俺はリンク3モンスターをリンク2の素材として、そして《リンク・インフライヤー》をリンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク3《エンコード・トーカー》!」


白鋼の騎士は盾を振りかざしながら降臨した。


「ここで魔法カード《二重召喚》の効果を発動!俺はもう1度だけモンスターを通常召喚することができる!俺は《サイバース・ガジェット》を攻撃表示で召喚!そしてモンスター効果を発動!このモンスターの召喚に成功したとき、俺はレベル2以下のサイバース族を墓地から蘇生することができる!墓地から《スタック・リバイバー》を攻撃表示で特殊召喚!アローヘッド確認、召喚条件はモンスター2体、俺は《サイバース・ガジェット》と《スタック・リバイバー》をリンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク2《プロキシー・ドラゴン》!!」


2体目となる《ファイアウォール・ドラゴン》の幼期体は、可愛らしい泣き声を上げて威嚇する。


「ここで《サイバース・ガジェット》と《スタック・リバイバー》のモンスター効果を発動!《サイバース・ガジェット》が墓地に送られたとき、フィールドに《ガジェット・トークン》を特殊召喚することができる!さらに《スタック・リバイバー》はリンク召喚の素材とした場合、俺はこのカード以外のリンク召喚の素材となったレベル4以下のサイバース族モンスターを守備表示で特殊召喚する!蘇れ、《サイバース・ガジェット》!!アローヘッド確認、召喚条件は効果モンスター2体以上!俺はリンク3《エンコード・トーカー》と《サイバース・ガジェット》をリンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク4《ファイアウォール・ドラゴン》!!」


高らかに咆哮した真っ白なドラゴンは、playmakerを守るべく翼を広げた。


「連続リンク召喚!アローヘッド確認、召喚条件は通常モンスター1体!俺は《ガジェット・トークン》をリンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク1《リンク・スパイダー》!!さらにアローヘッド確認、召喚条件はトークン以外のモンスター2体以上!俺はリンク2《プロキシー・ドラゴン》を2体分のリンク素材として、そしてリンク1《リンク・スパイダー》を、リンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク3《トライゲート・ウィザード》!!」


強力な魔力を秘めた魔道士はその杖に一撃必殺級の砲撃を備える準備に入った。


「ここで俺は《封印の黄金柩》の効果を発動、デッキからカードを1枚選び除外する。そして2ターン後の自分のスタンバイフェイズに除外したカードを手札にくわえる。だが、俺が除外したのは《ドットスケーパー》!自身が除外されたとき、即座にフィールドに特殊召喚される!アローヘッド確認、召喚条件はレベル1モンスター1体!俺は《ドットスケーパー》をリンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク1《リンクリボー》!さらにアローヘッド確認、召喚条件はサイバース族リンクモンスター1体!俺は《リンクリボー》をリンクマーカーセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク1《セキュア・ガードナー》!このカードが特殊召喚に成功したターン、俺は受けるダメージがすべて0となる!」

「うっわ、めんどくさい予防線張ってきた!?終わらせてくれないねー、キミ」

「当然だ」


playmakerのフィールドにはあっという間に《ファイアウォール・ドラゴン》、《トライゲート・ウィザード》、《セキュア・ガードナー》が揃った。


「まずは《トライゲート・ウィザード》のモンスター効果を発動!相互リンクの数だけ異なる効果を発動することができる!《トライゲート・ウィザード》の相互リンクは2、よって《魔弾の射手 ザミエル》を除外する!」

「ボクが許すわけ無いでしょ、playmaker!ボクは手札から速攻魔法発動《魔弾ークロス・ドミネーター》!自分フィールド上に《魔弾》モンスターが存在するとき、ターン終了までそのモンスターの攻撃力・守備力は0になり、効果は無効になる!」

「それなら次の手を考えるだけだ。今度は《ファイアウォール・ドラゴン》のモンスター効果を発動!このカードがフィールドに表側表示で存在している間に1度だけ、俺は相互リンクの数だけ自分・または相手のフィールド・墓地のモンスターをバウンスすることができる!対象は《魔弾の射手 ザミエル》と《魔弾の射手 カスパール》!」

「それも通せないね、2枚目の《魔弾ークロス・ドミネーター》を発動!《ファイアウォール・ドラゴン》の攻撃力を0にして効果は無効となる!」

「……俺は手札から《ストライピング・パートナー》を特殊召喚。なら、リンク召喚をするまでだ」

「えっ、まさか強行突破する気?!」

「そのまさかだ。アローヘッド確認、召喚条件は効果モンスター2体!俺は《トライゲート・ウィザード》と《ファイアウォール・ドラゴン》をリンクマーカーにセット!サーキットコンバイン、リンク召喚!リンク2《アンダークロックテイカー》!そして、モンスター効果を発動!1ターンに1度、このカードと相互リンク状態の自分フィールドの表側表示モンスターと相手フィールドの表側モンスターを対象に効果を発動できる!ターン終了まで自分モンスターの攻撃力分、相手モンスターの攻撃力はダウインする!俺が宣言するのは《ストライピング・ガードナー》と《魔弾の射手 ザミエル》だ!」


《魔弾の射手 ザミエル》の苦悶に満ちた表情、そしてうめき声が聞こえる。《アンダークロックテイカー》のモンスター効果により、《魔弾の射手 ザミエル》の攻撃力は2500から1300となった。


「アンタは《魔弾》の充填を怠ったようだな、ゴースト。モンスターの調達よりも、魔法・罠カードの調達を優先すべきだったんだ。モンスター効果を無効にできるのはさっきの魔法だけのようだからな。そう連打はできないだろう。もう3枚使い切ったんだからな」

「わざと使わせたとかいう?」

「さあな。俺はここで《リコーデット・アライブ》を発動!墓地の《エンコード・トーカー》を除外し、エクストラデッキから《パワーコード・トーカー》を特殊召喚する!さらに墓地の《リコーデット・アライブ》を除外、《エンコード・トーカー》をフィールドに特殊召喚!」

「さあ、バトルだ、ゴースト!まずは《ストライピング・パートナー》で《魔弾の射手 ザミエル》を攻撃!このときのダメージは互いに0となるが《パワーコード・トーカー》の攻撃力は1200アップの2500となる!《パワーコード・トーカー》でもう1度《魔弾の射手 ザミエル》を攻撃!」

「なら発動するよ、速攻魔法《魔弾ーネバー・エンドルフィン》!《魔弾の射手 ザミエル》の元々の攻撃力分攻撃力がアップ!3800!これで返り討ちだ」

「俺はその程度で止まりはしない!俺は《パワーコード・トーカー》のモンスター効果を発動!《アンダークロックテイカー》をリリースし、元々の攻撃力分倍となる!これで《パワーコード・トーカー》の攻撃力は5000!これで《魔弾の射手 ザミエル》の攻撃力を上回った!さあ、バトル続行だ、ゴースト。お前はもう攻撃宣言をしている。バトルを止めることはできない。それともなにか中断させる魔法か罠を握ってるか?もっとも、俺は《セキュア・ガードナー》の効果でこのターン、どんなダメージも0になるが」


高らかに宣言したplaymakerに、ゴーストは笑みを浮かべる。


「負けたよ、playmaker。さあ、きて、《パワーコード・トーカー》。ボクにとどめを刺すといい」


振りかぶった焔の戦士は豪快に《魔弾の射手 ザミエル》を切り刻む。その余波をくらったゴーストのDボードは大きく揺らめいた。その衝撃に耐えるため、あわててDボードにしがみついたゴーストはゆっくりと飛んでいく。ライフポイントが0になる音がする。YOU WIN!とアイのご機嫌な音声が響き渡った。playmakerはゆっくりと近づいていく。


「あはは、あー、まけちゃった。《魔弾》に変えた途端負けちゃうなんてかっこわるいなあ、ボク。もっともっとやりこみが必要だね。だからデュエルしたくなかったんだよ、まだものにしてないんだもの。でもま、ボクを倒すために引き込んだ新たなる力できっちり決めるなんてさすがだね」

「俺とのデュエルに積極的じゃなかったのはそのせいか」

「そーだよ、ボクだって準備期間は必要さ。そうだろ?」

「しるか、そんなこと」

「うわー、ほんと辛辣だねplaymaker。ま、いいけどさ。負けたのボクだし。ほら、可哀想なAIくんをどうするのかはキミに任せるよ、playmaker」

「ああ、そうさせてもらう」

「残念、ボクも欲しかったなあ、イグニス」

「あんたの手に渡ったらそれこそ悪夢だ」

「ひどくないかなー、それ」

「うるさい、事実を言って何が悪い」

「あはは、さすがに傷つくよ、ボク」


ゴーストは笑いながら、スピードデュエルのスタート地点まで戻っていく。どこかの一室と思われる四角い空間の向こう側では、相変わらず生気の無い青年がぼんやりと窓から空を眺めていた。ゴーストはにこにこしながらその画面に向かってなにかを投げた。ぱりん、と乾いた音が響き渡る。びくっと震えたかと思うと、青年は意識を失って倒れてしまった。ゴーストの手元にはくるくると回るマテリアルがある。


「───っおい!!なにしてる!」

「あとは任せるとはいったけどさ、イグニスの複製まで諦めるとはいってないよね、ボク。本体持ち帰らないだけでコピーももってちゃだめだとはきいてないよ?」


それは生体情報を抜き去っていくいつもの手口だった。勝手にデータを複製して持ち出してしまう。突然のハッキングに青年のデータは対応しきれなかったようだ。一時的に復元するための再起動状態に入ったようである。


「アンタってやつは……ほんとに!」

「あはは、そう怒らないでよ、playmaker。あとから首突っ込んできたのキミじゃないか。じゃ、そういうわけで。ボクはそろそろ失礼するね」

「おい!」


かえせ、の前にゴーストはログアウトしてしまった。はあ、とため息をついたplaymakerは、一度青年を連れて帰ることにしたのだった。







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