If Story

▽ 5*


「三日ぶりだから、念入りに解そうね」

ホテルでの連泊以降、葵を抱くことはしていなかった。だから葵を追い詰める目的だけでそう言ったわけではないのだが、馨の言葉で葵は困ったように眉をひそめた。

いつものジェルを指に纏わせ、ゆっくりと後孔に這わせていく。ぬめりさえあれば、指一本ぐらいは飲み込ませることに苦労はしない。でもお預け状態の葵の体が強張り続けているせいで、そこもきゅっと閉じられたまま。

「葵、それじゃあいつまでも抱いてあげられないよ。緩めてごらん」

ゆるゆるとなぞりながら促せば、葵も言いつけ通り力を抜こうとするが、どうしても上手くいかない。それだけ前の戒めがきつく、辛いのだろう。

「仕方ないね。もうあれは卒業したと思ったけど、久しぶりに持ってこようか?」

葵はすぐには馨の指すものを理解できなかったようだが、呼称を囁いてやれば途端に首を横に振った。葵が中だけでしっかりと快感を見出せるようにと徹底的に咥え込ませた道具。自力で括約筋を締めたり、緩めたりを繰り返すだけで、深い快楽に落とし込まれるものだ。

葵を抱く準備として随分長い期間訓練させたものだから、葵にとっては相当なトラウマになっているのを知っている。ドライでイく感覚を覚えさせた後はあまり使うことはなかったけれど、自分の意志で収縮させることを思い出させるのにはちょうどいい。

「葵、どうする?何も使わないでがんばれる?」

一応は救いの手を差し伸べると、葵は必死に頷いてきた。よほど嫌なのだろう。でもそんなに拒まれると久しぶりに遊びたくなってしまう。だが、それはまた別の機会でいい。

「じゃあほら、パパの指いい子に食べられるね?」
「……んッ……あぁ…ん」
「そう、それでいい」

荒い呼吸をなんとか整え、深く息をついた葵に合わせて、馨はゆっくりと中指を挿入していく。いつもより抵抗はあるが、ジェルの助けを借りてなんとか根元まで潜り込ませることが出来た。

「えらいね、葵。きちんと飲み込めた」

汗ばんだ首筋に口付けながら褒めてやると、葵は切なげに喉を鳴らした。

馨を受け入れさせるために十分な潤いを与えるため、惜しみなくジェルを垂らしながら指で粘膜に塗り込む動作を続けていく。

「あッ、ぱ、ぱ……あぁぁッ」

あくまで解す目的ではあるが、時折腹側にあるしこりをぐいと押し上げてやれば、葵の体が大きく跳ねた。それを繰り返すと、葵がまた馨を呼んできた。

背後から覗き込めば、透明だった蜜がわずかに濁り始めている。また射精感がピークに達しているようだ。

でもこれで許してやっては躾にならない。馨は指をもう一本増やし今度は葵の弱い部分だけを何度も突き上げてやる。激しい抜き差しで掻き回されたジェルの粘着質な音が部屋に響きわたる。

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