私と彼と理性のトライアングル 弐
パァ…と輝き手に持っていた刀の感覚が無くなった頃にゆっくり目をあけた
「……っ!?」
現れた男性は綺麗な金髪に宝石のような翡翠の瞳……まるで人間離れした容姿をしていた
………あ、彼は人間じゃない付喪神だった
「俺は山姥切国広。足利城主長尾顕長の依頼で打たれた刀だ。
……山姥切の写しとしてな。
だが、俺は偽物なんかじゃない。国広の第一の傑作なんだ……!」
なんだ、いきなり重い空気になったぞ
山姥切国広にした心の問いかけが悪かったか?
「さ、さようでござるか…」
「……何だその目は。写しだというのが気になると?」
「へ? いやいやいや! 全然気にならないし! むしろ気になるといえば綺麗な顔してるなぁとか美形だなぁとか…!」
慌てて山姥切国広の答えを否定しては率直に思ったことを喋ると山姥切国広は驚いて頭に被る布を掴み顔を隠した
「なっ?! ……綺麗とか、言うな」
「え? あ、ごめんなさい。もう言いません」
なんとも扱い難い刀だ…こりゃ会話も長続きしないタイプだな
ま、なんかあれば私から話しかければいいし気にしなくてもいいか!
「おめでとうございます、無事山姥切国広様を顕現することができましたね!」
「うん、これからが不安だけどね!」
「早速ですが主様、敵の気配を近くに感じます!山姥切国広様を出陣させましょう!」
「はやっ!!マジでいってんの!?」
「ささ、門まで走っていきますよ!遅れずに〜!」
野生の狐を思い出させるほど速く走って行ったこんのすけ…
なんだろう、私の知ってるこんのすけとは何か違う気がする……
数少ない友達のこんのすけはこんな主である私を置いていくようなやつではなかったぞ
「こんのすけにも色んな性格がいるんだなぁ」と感心していたところで隣にいた山姥切国広が「行かないのか?」と声をかけてきた
「え?」と山姥切国広が話しかけてきたことに嬉しさと驚きを含めた反応をすると、山姥切国広は再び布を掴んでは顔を隠し「写しが話しかけるなんて嫌だよな」と落ち込んでしまったので私は首を横に大きく降った
「違う違うよ!すごく嬉しかった!まさか山姥切国広…様から話しかけてくれるなんて!」
「…様はやめてくれ、写しの俺に様はいらない」
「あ、じゃあなんて呼べばいいですかね?」
「山姥切でいい…」
「わかった!山姥切、よろしくお願いしますね!」
そういって手を差し出せば山姥切は手をみて私をみては再び布を深く被りこんのすけの後を追うようにその場を去っていった
「あいちゃー……少しでも仲良くなったかもって思っていた私が馬鹿だわ〜…」
額に手を当てため息をついた
でも……
「今後も仲良くなれそう」
そう確信した私は一振りと一匹の後を追って駆け出した
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