三十万打リク◆爆豪の守り方

『かっちゃんあったかい緑茶が飲みたい。淹れたてのやつ』

「あ?」


陰で爆豪派閥と呼ばれる4人でテレビを見ていれば、爆豪が座っているソファの後ろからひょっこり梓が覗くものだから全員首を傾げた。
呼ばれた本人は怪訝そうに振り返ると「勝手に飲みゃいいだろが」と言うが、


『かっちゃん淹れてよ』

「自分で淹れろや」

『淹れかたわかんないもん。いつも九条さん達が淹れてくれてたから』

「甘やかすとこ間違ってんだよあのクソ野郎!!」


キレながら立ち上がった爆豪はドスドス足を踏み鳴らしながらキッチンまで行くとお茶っ葉をカーン!と勢いよく急須にいれた。

よくみる光景に「なんだかんだやってあげるんだよなァ」と瀬呂が笑う中、上鳴が「梓ちゃん座んなよ。一緒にテレビ見よーぜ」とソファに手招きする。


『うん、見る。なに見てたの?』

「ヒーロー情報ニュース!今日もホークスやらエンデヴァーが活躍してら。俺らもいつかこうやってテレビに出る日が来るのかねェ?」

『上鳴くん人気になりそう』

「え、なんで?俺がイケメンだから?」

『それはよくわからないけど笑顔が優しいから!みんな安心しちゃいそう!』

「キュンときた!!」

「一応お前よくわからないって言われてるからね。つーか、アホ面の上鳴より東堂だろー。絶対テレビで扱われる回数多いね。サインもらっとこうかな」

『瀬呂くんアホ面ってひどい。そうかなぁ…そもそも私は有名にならないよ』

「なんで?」「有名になるだろ」


揃って同じ方向に首を傾げた上鳴と瀬呂に梓はいやいや、と首を振る。


『サイドキックになるつもりないもの。だって、プロで有名になる人って大きな事務所のサイドキックとして入ることが定石なんでしょ?』

「そォか。家のことがあるからずっとフリーで動くつもりだっつってたもんな。だったら俺、結構頻繁にHNで呼んじまうかも。いいか?」

『もちろんいいさ!切島くんなら大歓迎だよ。瀬呂くんも上鳴くんも、私が役に立てそうなことがあったら呼んでね。戦場でしか役に立てないかもしれないけど』

「なんだそれ!“戦場でしか役に立たない”とか言ってみてぇ!!」

「フリーでも梓ちゃんは有名になると思うぜ。絶対守護天使って異名が付くはず。つーか、今も学校内に親衛隊がいるって噂じゃん?」

『親衛隊ってなに?応援してくれてるってこと?』

「んー…まァ、そんな感じ」

『一度しか会ったことないけど、応援してくれてる感じはしなかったけどなぁ。むしろ喧嘩を売られたようなものだったし』

「ああ、波動先輩が前に言ってたよな。東堂が親衛隊シメた噂聞いたって。あれ実際何があったのよ?」

『心操を呼び出して酷いこと言ってたんだよ。金属バットで殴ろうともしてたし!だから、怒ったの』


思い出したのかぷくっと頬を膨らませて腕を組んだ梓に一同ポカンとした。
まさか噂の眷属サマが原因だったとは。

恐らくだが、普通科の癖にだの言われて呼び出されて嫌味を言われたのだろう。彼の性格上、事を荒立てず穏便に済ませそうなものだが、その前に梓が駆けつけたのかもしれない。

守りたい子に守られてちょっと複雑だっただろうな、と瀬呂が心操の心の内を微妙に案じていると、切島が「そう言うのあんまよくねェぞ」と珍しく厳しい顔をした。


『え?だめだった?』

「相手は普通科の奴だとはいえ、男だろ。しかも過激派親衛隊。たしかに梓は強いけどよ、何かあってからじゃ遅ェんだから、次そう言うことがあったら俺に言えよ」

『ええ??でも、奴らは私の件で怒ってたよ。私が心操に話しかけたらダメだって。よくわからないけど、これは私の問題だから切島くんを巻き込むわけにはいかないよ』

「別にお前だけの問題じゃねェって。なァ?」

「そーそー!流石にその親衛隊とやらの行動は行き過ぎてるから、何かあったら俺らも力になるぜ!峰田も言ってたけどさァ、梓ちゃんってお人好しすぎるし守護の為だとか言われりゃなんでもしそうだから、いつかそこを逆手に取られねェか心配なんだよなー」

「はあ??本当に峰田がそう言ってたのかよ?」

「峰田は“守護のためだとか言っときゃ言いくるめられそうだ”って言ってた」

「クソ野郎だな」


峰田こそ東堂の純粋さを悪用しようとしてんじゃん、と引き気味にそう言った瀬呂に切島は眉間にシワを寄せたまま大きく頷いた。


「ま、何にせよ、ちっとでもおかしいって思ったらちゃんと俺らに言えよ?耳郎でもいいし」

「そーそー。なっ、バクゴー」

「るせェ。アホ面退きやがれ」


お盆を持ってズカズカとキッチンから戻ってきた爆豪に上鳴が同意を求めるが、肘で押しのけられ「痛い!」と悲鳴が上がった。
爆豪が梓の隣にドカッと腰を下ろし、お盆の上にある急須と湯呑み、そして小皿に入ったりんごを少々激しめにがちゃん、と横に置く。


『わあかっちゃんありがと!!やった!この組み合わせ大好きだ!かっちゃん大好きだ!』

「るせェなさっさと飲めや!!」

『ありがとう〜!!』


幸せそうに目を緩ませ頬を緩ませ、両手で湯呑みを持ってズズズ、とお茶を飲み始めた梓と満更でもなさそうな爆豪に思わず周りは吹き出した。


「ぶふっ…しっかり、りんごまで…!ほんっと爆豪って東堂のこと好きだよなぁ!」

「はァ!?好きじゃねェわ!!」

「言動と行動がここまで一致しねェのは逆に清々しいな!」

「俺、将来バクゴーの素行が悪すぎてヒーローとしての人気が出なかったら、メディアに今日のエピソード話して実は幼馴染には激甘なんですってアシストするわ。ギャップ萌え狙うわ」

「余計なことすんじゃねェ何がアシストだ!激甘じゃねェわ!」

『かっちゃんもりんごいる?』

「全部テメーが食べろ!!」

「「「優しい」」」

「だっから、優しくねェわ!!!」


キレてはいるが機嫌が悪いわけではないようで、一通り怒鳴った後は幸せそうにりんごを頬張る梓を眺めていた。





一同は、しばらく他愛もない話をしながらテレビを見ていた。


「最近敵の動きが活発だよなー。なんかちっせェ事件は毎日だし」

「確かに。つーか瀬呂、これ見た?この事件、超怖えーの。結局エッジショットが解決してことなきを得てんだけどさ」


上鳴がネットニュースで見せた画面には“ストーカー事件”と書いてあり、「えっぐ」と思わず瀬呂が顔をしかめたところでニュースが切り替わり丁度その事件の報道が始まる。


「お、これこれ」

《ネット上で知り合った女性に手紙を送りつけるなどストーカー行為を繰り返し、複数回に渡り女性宅に侵入したとして、男が現行犯逮捕されました》

「こっわ!これ、家の中に侵入したのか?」

「そーそー。なんかこいつの個性が鍵を開ける個性?とか何とかで。結構頻繁に侵入してたらしいぜ」


鳥肌たった!と二の腕を摩っていると上鳴がそう説明を重ね切島は「鍵を開ける個性?ロックロックさんと真逆だなァ」とインターンでお世話になったヒーローを思い出した。
つくづく、個性の悪用は怖いと思う。


「散々手紙送りつけて、無視されたから部屋侵入しまくって、あぶねーなぁ…」

「たまたまパトロール中だったエッジショットが叫び声に気づいていなきゃ、本当この人何されたかわかったもんじゃないよな」


顔をしかめた瀬呂と切島は「バレたから襲おうとしたのか。それとも襲う予定だったのか。どちらにせよクソだな」「この女の人のトラウマ半端じゃねェだろ」と怒りや同情の顔をしていて、2人がニュースに釘付けになる中、もともとこの事件を知っていた上鳴はふと梓の方を向いた。


「梓ちゃんも気ィつけなきゃダメだぞー」

『………ストーカーって、よくわからないけれど…手紙もストーカー行為に入るの?』

「んー…、そりゃ何度もしつこく送ってきて、相手が嫌だって思ったらなるんじゃね?」

「あ゛?お前まさか心当たりあるんじゃねェだろうな?」


眉間にシワを寄せて警戒するように横目で梓を見下ろす爆豪に、ニュースを見ていた瀬呂と切島も「「え?」」と思わず振り返った。


「嘘だろ梓ちゃん。マジで?」

「待て待て待て待て。このタイミングでここに被害者?ヤバくね?」

『いや待って、上鳴くん、瀬呂くん。誤解だよ。私そんなに大量の手紙はもらってない!』

「なんだ、よかった。焦った」

「俺、クラスメートにストーカー被害者いるかと思ってビビった」

『かっちゃんが警戒心100%の声出すからみんなびっくりしちゃったよ、もう』


なんてことないようにそう言う少女に周りは安心したように「爆豪は過保護だからなァ」「過保護にさせたのは東堂じゃね?」と笑っていたが、爆豪はじとりとした目を梓に向けたままで、観察している。

当の本人は爆豪の視線に気づいていないようで、


『あ、でもね、手紙をたくさんもらうわけじゃないんだけど、送り主わかんないうえに返信しようがない手紙はもらったんだ』

「は?手紙?」

「送り主不明…?」

「返信しようがない…??」


突然ブッ込まれた情報に瀬呂、切島、上鳴は素っ頓狂な声で梓の言葉を繰り返した。
ますます爆豪の眉間のシワが深くなる中『うん。写真しか入ってないの』と、ゴソゴソ羽織の中を探り始めたものだから4人は不穏な空気を感じる。


「写真……?」

「待って待って怖い。何の写真?」

「赤い封筒!?怖っ!東堂、中見てもいいか?」

『うん、いいよ』


梓が取り出した封筒を受け取った瀬呂は恐る恐る封筒の中身をテーブルの上に広げると、そこには、梓が写っている5枚程の写真が並んだ。

体育祭の時、制服姿で電車に乗っている時、職場体験の時。そして、インターンの際の写真の切り抜きと、極め付けは実家の写真。


「……うっわぁ…、マジか、」

「やべェ…!鳥肌たった…、!この電車のやつとか完全に盗撮じゃん。つけられて家バレてんじゃん…」


流石にこれは笑えねェわ、と瀬呂と上鳴は顔を青くして口元を覆った。

盗撮を含めた写真を5枚送りつけるなんて気味が悪い。どう言う意図があるのかは知らないが、送り主がこの少女に執着していることは確実なのだろう。
まさか、クラスメートがストーカーの被害になっているなんて、思わず言葉を失って呆然と写真を見ていればずっと黙っていた切島の手が写真を1枚拾った。


「………この事、誰かに話したのか?」

『え?いや、誰にも話してないけど…やっぱこの手紙ちょっと変??』

「変どころじゃねェだろ…コレ。他になんかなかったか?」

『ほ、ほかに?特には…思いつかないけど。ねぇ、切島くん目がちょっと怖いよ』

「いや、ワリ。けど、ちょっと冷静になろうとこっちも必死なんだわ。爆豪ォ…、どうする」

「…………」


いつもの切島とは違う雰囲気に流石の梓も不穏な空気を感じ取り始めていた。
切島と同じように助けを求めるように爆豪を見れば、彼は冷たい氷のような目でジッと写真を見下ろしていて。


「一通だけか」


ぽつりと問われ、梓は手紙の事を言っているのだと認識し、首を横に振った。


『う、ううん、何通かあった。でも、写真だけで中身は何も書いてなくて』

「「「はァ!?」」」

『ひい!』

「お前ほかに何もないって…!」

『てっ手紙以外は何もないよって意味!手紙はほかにもきてるよ。たくさんってわけじゃないけど、何通か』

「梓ちゃんのバカ!分からず屋!怖い!もう梓ちゃんが怖い!!」

「どういう育て方したらこんな子に育つんだよ!?」


もはや悲鳴だった。クッションに頭を突っ伏したり天を仰いだり、瀬呂と上鳴がパニックになる中、切島は厳しい表情で梓の真ん前にしゃがみ込むと不安げに揺れているその目を見上げる。


「な、その封筒どこにあるんだ?」

『え、前にもらったやつ?』

「そ。俺にちょっと見せてくれよ」

『す、捨てちゃったよ。自分の写真なんていらないし、返信しようもないから持っててもしょうがないと思って』

「そうか…。どんな写真だった?例えば…、家の中や、校内の写真はあったか??」

「「ひい!」」

『いや、それはなかったなぁ。…インターンの時とか、家に入る時の写真くらいかな。撮られてるのって案外気づかないものだね。殺気がないからかな?』



不思議そうに首を傾げて自分が写る写真を眺めている中、切島と爆豪はパチリと目を合わせた。

家の中や校内の写真がないのであれば、この写真を送りつけた人間は学校関係者ではないという事だ。
恐らく体育祭をきっかけに梓を知り、ストーカーとなった人間なのだろう。


「送り主不明じゃ探しようもねェなァ…」

「き、切島…とりあえず先生に言う?そしたら警察に…」

『え、そんなに大事!?上鳴くん、私、写真送られただけだよ?』

「いやいやいやいや!写真送られたことがやべェだろ!」

「はーぁ??東堂、おまっ」

「チッ…こいつに何言っても無駄だっつの」


身を乗り出して危険性を説明しようとした上鳴と瀬呂を押し除けたのは爆豪だった。
彼はサッと、写真を全て回収するとポケットに入れて立ち上がる。


『かっちゃん?』

「……」

『写真、どうするの?』

「別に」

『怒ってる?』

「怒ってねェよ。……梓、」

『??』

「次、こういう郵便が来たら開封する前に寄越せ」

『どうして?』

「どうしてでもだ」

『……、わ、わかった』


有無を言わさぬ鋭い目。
厳しいものではなかったし怒りを含むようなものでもなかったが、ここで了承しなければ雷が落ちそうで梓はあっさり頷いた。

それに爆豪は満足すると「便所行ってくる」と写真をポケットに入れたまま何故か玄関に向かい、何かを察した切島が「俺も行く。お前ら、梓のこと見とけよ」と上鳴達に指示を出して彼の後を追いかけた。

ばたん、と寮の扉が閉まり2人が出て行った後、


『なんでトイレ行くのに外に行ったの??』


と不思議そうな顔をする梓の横で上鳴と瀬呂は((相澤先生ん所に行ったな))と彼らの行動を汲み取っていた。




「爆豪、先生んトコ行くんだろ」

「……」

「盗撮写真だけ送りつけてくるところが気味悪ィよな…。“見てるぞ”ってアピールか?当の本人は気にしてねーけど」


前をズカズカ歩く爆豪に追いつき横に並べば、手に持っている写真がくしゃりと曲がっていて切島は(そりゃムカつくよな)と顔をしかめた。


「エスカレートする前に気付いたし…ま、寮制だから今のところ心配はなさそうだけどよぉ…、ずっと外に出ねー訳でもねェからなあ。犯人見つかりゃいいんだが」

「…コレ」


ちらりと写真の裏を見せられた。
冷たい目が指したそこには連絡先が書かれてあって、


「写真だけじゃ飽き足んなくなったんだろうよ」

「うわ、お前よく気付いたな!梓も気付いてなかったろ?」


観察眼鋭ッ!と目を丸くしつつも、これを警察に渡せばストーカーに対して牽制できるだろう、と切島は安心したようにホッと息をついた。


「とりあえずこれを相澤先生に見せりゃ、後はどうにかなるな。あの人ほぼ梓の保護者だし、容赦しねーだろ!」

「……」

「それにしてもアイツ…まさかここまで危機感ねーとは思わなかった。爆豪、意外と冷静だったが怒らねェんだな」


妙に冷静な爆豪にそう言えば、彼は「冷静な訳あるかよ」と顔をしかめた。
自分の知らないところで盗撮されていたのもムカつくし、それを梓に送りつけていたのも胸糞悪い。出来ることならこの手でその犯人を爆破してやりたいところだが、自分にはそれは出来ない。


「クソが」

「出し抜かれた感、あるよな。こういうことに関して東堂の危機意識が低いことはわかってたから、気にして見張ってたはずなのによ」

「るせェ」

「でも、意外だったなァ」

「あ?」

「お前、危機感がうんぬんって梓にキレるかと思ってた」


切島に意外そうな顔をされ、爆豪は黙った。
暫くして、「アイツに何言ったって無駄だろ」と吐き捨てた彼は何かいいたそうな顔をしてはいるが、黙ったまま前を向く。
梓の危機意識が薄いことについてはもう半分諦めていた。


「幼馴染のお前が言うと、説得力あんなァ」

「何言ったって殺気以外警戒しねェんだよ、アイツは」

「いやでもさ、ずっと守ってやれる訳じゃねーだろ?こういうことに対する梓の危機意識が薄いのって、多分この行動の意味がわかってねェからだろ?」

「あ?」

「自分に狂った感情が向けられるってわかってねェんだよ。このストーカーが、自分に対して異常な執着心を抱いてるって、怖いことなんだってわからせれば、」

「わからせなくていい」

「はぁ??」

「いいっつってんだろ」


微妙な顔でそうキッパリ言った爆豪に切島はぽかんと口を開けた。
なぜわからせなくていいのか、それが梓を守る方法の一つでもあるのに。

思わず彼の表情をじっと見れば、葛藤するように眉間にシワを寄せつつ、


「なんて言うんだよ。こいつはお前に執着してる。付け回して写真撮ってお前のことを手中におさめたいとおもってる。敵連合と同じだとでも言えってのか」

「……」

「わかってねェならもう、わかんねェままでいいだろ。…他人から向けられるクソみたいな感情だぞ」


勿論、危機意識が上がってくれるのはありがたいが、
本人が気づいていない他人から向けられている邪な感情を本人が気づいていないのであれば、それも幸せかと思うのだ。
自分がずっと近くにいて守ってやれば、その醜い感情をぶつけられることもないだろうし。


「別にわからせなくたって守りゃいいだろうが」

「爆豪…」

「……」

「おまっ…、アイツのこと愛し過ぎだろ」

「…はァ!?何がどうなったらそうなるんだよ!!愛してねェわ!!!」

「要は、怖がらせたくないし嫌な思いもさせたくないから気づかないうちに解決しちまおうって事だろ?お前、本当にアイツのことが大事なんだな」

「大事じゃねェ!!」

「そうか、そうだよな。体育祭の後も、何も言わずに一緒に登校してたし、文化祭の後も、しれっと更衣室まで付き添ってたって聞くし、そうか、それがお前のポリシーだったんだな。ずっと、アイツが気づかねートコでアイツのこと守ってたんだな!やっぱ爆豪オメー漢の中の漢だな!!」

「何スッキリ理解した顔してやがんだテメーは!違ェよ!!」


少し顔を赤くしつつ、目を吊り上げてキレた爆豪に切島は「照れんなって!」と火に油を注いだ。

その後、相澤に事情を話すと、眉間にシワを寄せて写真を眺めたあと電光石火のスピードで知り合いの警察に連絡したようで、次の日にはストーカー犯に厳重注意処分が下ったのだった。


(爆豪、例の件…一応厳重注意と接近禁止命令を出させたが、まだ気をつけておけよ)

(なんで俺が)

(東堂に言っても無駄だろ)

_220/261
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