141お見合い大事件
(お家騒動※オリジナル注意)

雪がちらつくようになってきたある日の放課後。


『ね…ちょっと。相談が』


珍しい。そう思って女子ーズは全員顔を見合わせた。
ソファで駄弁っていた自分たちの前に立つのは、何かとお騒がせな我がクラスのアイドルである。
危なっかしいが抜群に強くてカッコ良くて可愛くって依存症患者が増えているあの子である。

人を救うことは多々あるが、悩んでいるところはあまり見ないし、人に頼っているところも見たことがない。そんな梓が珍しく自分たちに助けを求めるものだからビックリした。
と同時に、嬉しくなって芦戸は前のめりで「何何何何!?」と梓の両肩を掴んだ。


『あ痛ぁ!?』

「ね、なに!?恋バナ!?気になる人できちゃった!?東堂にも春が来た!?」

「えぇぇー!!だれ!?爆豪くん!?轟くん!?も、もしかして緑谷くん!?」

「ちょっと、梓ちゃんが狼狽えてるわ。三奈ちゃんも透ちゃんも落ち着いて」

「なに、アンタが相談なんて珍しいじゃん。しかもそんなに深刻そうな顔して」


わーっと襲いかかってきた2人にされるがままになっていれば蛙吹が止めてくれ、耳郎に腕を引っ張られソファに座らされる。


『あ、ありがと』

「いーえ。それで?」

「私たちでよければ、ご相談にのりますしお力添えしますわ」

「うんうん、こうやって梓ちゃんから頼ってくれることって滅多にないから嬉しいわぁ」

『そうだっけ…。なんか団らんしてる時にごめんね、えっと、どうすればいいかわかんなくてさ、これなんだけど』


おずおずとテーブルの上に置いたのは見開くタイプの写真台紙。遠慮がちに八百万が捲れば、そこにはニカリと人のいい笑みを浮かべる男が写った写真があり、


「「「………………え????」」」


八百万、耳郎、葉隠の戸惑いの声が漏れた。
まるでお見合い写真のようにそれに、嘘でしょ?と表情を窺うが、青ざめ気味にこくんと頷くものだから、しばらくの沈黙の後数名が絶叫して寮内のリビングに響き渡った。


「えぇぇえええええ!?!?お見合い!?するの!?梓ちゃんが!?この冴えない男と!?」

『うん……』

「いいの!?断わんないの!?全然かっこよくないよ!?ってかこいつ誰!?」

「葉隠おちつけ!!私も落ち着けないけど!!」

『こ、断れなかったんだよ…。このひとは、一族のスポンサー…みたいな、人。要は、国の重要人物の息子で、私も、継承式で一回だけあった事が』

「ってかこいつ何歳!?お肌にハリないけど!?」

『30歳…』

「「相澤先生と同じじゃん!!おっさんじゃん!!」」

「三奈さん、透さん、相澤先生にも失礼ですわ」

「えぇぇ…梓ちゃん、なんで断れないん!?」

『ううん…九条さんたちが許してくれないんだよ。相手が相手だから一度は受けないと面目立たないし、なにより、九条さんたちは割と乗り気なんだよ』

「なんで!?」「嘘やん!」「ありえなくない?」

“一族のことを考えれば優良物件だし向こうはお嬢にベタ惚れだそうだ。次代のことも考えなきゃならんし、さっさと結婚して身ィ固めんのもアリじゃねーか?将来安泰だぞ、一族は”

『って。』

「最低だなオイ!!全部家のことしか考えてないじゃん!!」

「デクくんが九条さんのこと苦手って言ってた意味が今わかった!!私も苦手や!!」

「まぁ…酷いですわ。梓さん、それは…お辛いですわね」

『辛い…いや、辛くはないんだけどさ、九条さんの言ってることもわかるし』

「「わかっちゃダメだよ!!なに半分諦め始めてんの!!」」

『とりあえず、一回は受けなきゃとは思ってるんだけどさ…、やっぱりまだ結婚したくないし…っていうか、結婚って、なに?』

「梓ちゃん白目むいてるよ!!」


一族のためだから、と半分諦めているが心がついていけず白目をむいてしまった梓を女子ーズが放っておける訳もなかった。
きっとこの子は、一族のためだと納得させようとしたが、それでもこの見合いが嫌で、結婚が嫌で、それを相談しにきてくれたのだ。

言葉足らずだがその心情が理解できた女子ーズは、考えすぎで頭から煙を出して寝てしまった梓をソファに横にしたまま、作戦会議を始めた。


「九条サン達を説得して破談にしてもらうしか無くない?」

「そうするにしても、それ相応の理由がないときっと押し切られるわ。梓ちゃんだって、結婚が嫌だっていう意思表示はしたはずよ。それでも九条さんたちを納得させられなかったからこういう事態になってるのよ」

「でも、あんまり強くは言えないのかもね。だって梓の言葉を借りると、“正論を言ってるのは九条さんで、自分は私情だ”ってことでしょ?ウチらは頭おかしいんじゃない?て思うけど、梓も、あの人らもずっとああいう考えだし」

「九条さんたちを説得して破談にしてもらうか、それか、向こう側に退いてもらうか…。ねぇ、向こう側に退いてもらうほうが現実味ありそうじゃないかな!?」

「でも、葉隠。このおっさん、東堂にベタ惚れなんだよ?なんでか知らないけど。ロリコンかよ」

「お口が悪いわ。三奈ちゃん」

「爆豪くんに脅して貰えばいいんやない?」

「麗日の考え方がヴィラン!!」

「それか轟さんのお父様のお力をお借りするとか」

「エンデヴァーの圧力は怖い…!でも、ヤオモモ、父親嫌いのあいつが協力………、するわ。絶対するわ。たぶんなに振り構ってられないはずだわ」

「でも相手がエンデヴァーの圧力に屈するタイプかはわかんなくない?とりあえず相手の素性を調べるチームと、報復チームにわかれよーよ」

「三奈ちゃん、報復チームじゃなくて次の手立てを考えるチームよ。もしどうしようもなくなったらA組総出でこの男の人の弱みを握って脅すか、最悪、心操ちゃんに洗脳を頼むしかないわね」

「ど、どんどんみんなの思考がヴィラン化してる」


引きつつも、耳郎は仕方ないよな、と諦めにも似た気持ちでいた。
いつも助けてくれる、先頭に立ってくれる、引っ張ってくれる、そんな子に相談されて燃えないわけがないのだ。
お見合いだの政略結婚だのふざけてる。
この子には、この子のことを何よりも大事に想って優先してくれて、この子が心を安らげるような人じゃないと嫌だと周りは思っていた。
ただでさえ、人を、他を優先してしまうのだから。


「絶対このお見合い潰そ。…梓には、梓が好きな人と結婚してほしーよ」

「よく言った耳郎。とりあえず仲間増やそ!」

「きっとクラスのみんななら協力してくれるわ。それと、先生にもご相談していた方がいいんじゃないかしら」

「そっか、相澤先生は対九条さん相手にもってこいだよね!いつもバチバチ火花散らしてるし」


私今から行ってくる!と、スクッと立ち上がった葉隠に耳郎と八百万に続いて芦戸も立ち上がるとバタバタと寮を出て行く。
彼女らと玄関ですれ違った切島、爆豪、瀬呂、上鳴は目を丸くし、珍しく慌てている女子たちに首を傾げつつ寮内に入ってきた。


「なんだ?八百万まで」

「慌ててたなー」


気になり、切島は彼女らを見送ったであろう蛙吹と麗日のいるソファに向かい「なんかあったのか?」と聞いたところで珍しい光景を目にする。


「わ、梓寝てんのか。この時間はいつも稽古中だろ?珍しっ」

「あ?」


梓と名前が聞こえた事で興味なさげだった爆豪が足早にソファに向かうと上から顔を覗き込む。


『うーん……』

「………」


じっと覗き込んで、暫く眺め、
爆豪はゆっくり眉間に皺を寄せた。

寝苦しそうに唸る梓がこの時間にこのソファで寝るのは、珍しい。珍しいというか、おかしい。
思わずぎろりと麗日を見ればギクッと反応しなにかを後ろに隠したものだから爆豪はますます眉間に皺を寄せる。


「何隠しやがった」

「エッ、イヤ、何も?ねぇ、梅雨ちゃん」

「…ええ、なんでもないわ」


麗日が写真台紙を隠したのは咄嗟だった。
彼にも相談しようとは思っていたが、今、彼は梓の寝顔で彼女の異変を感じ取った。その敏感さと異常さに、このまま話せば自分が八つ当たりまがいの爆破を受けるのでは、と一瞬びびったのだ。


(爆豪くん梓ちゃんに関して敏感すぎやん!?)


声が裏返りながらも蛙吹に同意を求めれば彼女も少し考えた後に頷いていて。
それでも爆豪は怪訝な顔を崩さない。


「こいつなんかあっただろ」

「エッ、爆豪なんでわかんの?梓ちゃんの寝顔見ただけだろ?怖っ」

「なに、東堂が体調不良?しんどい感じか?」


引き気味の上鳴と炭酸ジュースを飲みながら心配そうに寄ってきた瀬呂に蛙吹が安心させるように首を振る。


「体調は大丈夫よ。ただ、ちょっと考え過ぎちゃったみたいね」

「ははっ本当だ。眉間に皺寄せながら寝てら。そういやさっき八百万達がバタバタ出て行ったけど、なんかあったのか?」

「うーん…えーっと、」

「相澤先生に相談に行ったのよ」

「こいつの件で、だろ」


ズバッと話に割り込んだ爆豪に切島と上鳴は「へ?」と素っ頓狂な声を上げ、瀬呂は「東堂から目を離さねェお前が怖い」と引き気味に後ずさっていて、
麗日と蛙吹はどうしよう、と目を合わせた。

これ以上誤魔化し続けられないほど鋭い視線を爆豪に向けられ、すぃーっと視線を泳がすが「オイコラ」と脅され、


(うう、梅雨ちゃんどうしよう…!頼るつもりやったけど、爆豪くんの目が怖すぎて!)


思わず麗日が助けを求めるように蛙吹を見ると、彼女は少し困ったような顔をしたもののゆっくり頷く。


「いずれ知る事だものね…。爆豪ちゃん、ちょっと色々と聞きたいのだけれど」

「あァ?」

「梓ちゃんのお家のことについて」

「……別にイカれてるってこと以外は俺ァ詳しくねェよ」

「それでも幼馴染なんだから、私たちよりは知ってるはずよ。梓ちゃんのお家は、代々政略結婚のようなものをしていたりするのかしら?たとえば、梓ちゃんとお父さまとお母さまは、」

「政略結婚だァ?は?聞いたことねェな」

「そうなの?」

「確か、アイツの母親は…ハヤテさんの元部下だろ」

「「そうなんだ!?」」


新しい情報に思わず驚いて爆豪を見た切島達だったが、麗日がガタンッと勢いよく立ち上がったものだからそっちに驚いた。


「ほ、本当なん…?」

「あ?」

「麗日?どうした?目がギラついてっけど」

「つーか手に持ってる台紙なに?」

「本当なん!?梓ちゃんのお父さんは政略結婚じゃないんやね!?おじいちゃんは!?」


爆豪、切島、上鳴の順番で首を傾げれば、鬼気迫る表情の麗日にずいっと迫られ瀬呂含めて4人とも思わずのけぞった。


「エッ…なに?突然うららかじゃなくなったんだけど」

「知らねェよ…大声出すな丸顔!こいつが起きんだろうが!」


引きつり気味の上鳴の隣で爆豪が梓が起きていないかソワソワと顔を覗き込む中、宥めるように蛙吹が「お茶子ちゃん落ち着いて」と諭すが、彼女は止まらない。


「落ち着いてなんかいられんよ!代々、そういう結婚してたら益々梓ちゃんが雁字搦めになってしまうかもって気になってて…!でも、梓ちゃんのお父さんが違うんやったら梓ちゃんもこんな奴と結婚しなくていいやん!!」

「は?」「え?」「…え?」

「お茶子ちゃん、テンション上がり過ぎて全部言っちゃったわね」


思わず麗日が核心を大きな声で言ってしまった。
時が止まったかのように、爆豪を含めた4人がフリーズし、そして、一拍置いた後絶叫が寮内に響いた。


「「「「はァァァア!?」」」」

「ひっ!わ、やば、梅雨ちゃん、私勢いあまって…!」

「いいのよ、遅かれ早かれ知るんだし」

「どういうことだ丸顔コラァ!!は!?梓が、け、けけケッコン!?結婚ってあの!?誰と…いつ、っつーかいつの間にってか結婚できねェだろ年齢的に!いや、女は16から出来んのか…いやそういうことじゃねェ!!何が起こってんだ!!」

「おおおおちつけ爆豪!まずは、まずは話を聞こうぜ!?あの、な!?焦んな、泣くなよ!?」

「ば、爆豪がパニックになりすぎてて俺が冷静になってきた……」

「気持ち、わかる…」


顔を真っ赤にして怒鳴ったかと思うと自問自答して青ざめたりパニックになって結局叫んだ爆豪とそれをなだめようとするもののパニックが感染し思うようにいかない切島。
上鳴と瀬呂は呆然と口を開けて突っ立っていて、蛙吹は落ち着かせるように、冷静な声音で淡々と事情を説明し始めた。


「さっき、梓ちゃんから相談されたのよ。この写真の男の人と結婚を見据えたお見合いをしなきゃならないみたいなのよ。相手は一族のスポンサーかつ、国の要人の息子で、30歳。梓ちゃんにベタ惚れらしいわ」

「「「「30歳!?!?」」」」

「梓ちゃん、断りたかったらしいんやけど、九条さんたちが乗り気みたいでね…」

「ハァ!?あのクソイかれ野郎また梓のことに干渉してきやがって…!!!」

「なんで乗り気なんだよ!?九条さんだって別に悪い人じゃないだろ!?梓が嫌なら断ってくれたって…!!」

「そ、そうだよ!爆豪と切島の言う通りだ!つーかこのオッさんロリコンかよ!?気持ち悪っ!」

「相澤先生と同い年かよ…、ちょっと、やべェって」

「九条さんは、一族のことを考えれば優良物件だし、次代のことを考えると結婚もありだと仰ってるらしいのよ。一族は将来安泰だそうよ」

「相変わらず最低だなクソが!!」


怒りに任せて両掌を思わず爆破させる爆豪を止める者はいなかった。
切島も「いやいやおかしい。それはイカれてるわ」と顔を引きつらせて上鳴と目を合わせていて、
瀬呂がため息混じりに頭を抱える。


「ハァ〜…、不憫でならねェ。で?東堂はなんて言ってんのよ?」

「瀬呂くん、それがね、梓ちゃん…悩み過ぎて目ぇ回しちゃって、そのまま寝ちゃったんよ」

「ああ、だからなんか寝苦しそうなのか」

「えぇ…、何で悩んでんだよ〜、梓ちゃん、こんな奴と結婚しないほうがいいって…。断ろうぜ…」

「梓ちゃん自身も結婚したくないとは言っていたわ。でも、良くも悪くも一族を一番に重んじる彼女にとって、それは“私情”なのよ。たとえ私たちがどんなに正当な感情だと伝えても、彼女にとって正論を言っているのは、一族を一番に重んじる九条さんなのよ」

「「「「……。」」」」


悲しそうに、眠る梓の頭を撫でた蛙吹の言葉に、心当たりがあり過ぎて4人は言葉が出なかった。
今まで共に過ごしてきた端々にそれを感じ、思わず口を噤んでいれば、
麗日が悔しそうに唇を噛んでいて。


「きっと梓ちゃんは、一度は一族のためだと納得させようとしたんよ。でも、それでもこの見合いが嫌で、結婚が嫌で、それを相談しにきてくれた。だから、私らは、何が何でもぶっ潰そうと思ってる」

「……えぇ、だからさっき、透ちゃんたちが相澤先生のところに報告に行ったの。相澤先生だったら、九条さんの対抗馬になってくださるわ」

「先生、梓ちゃんの為なら九条さんと喧嘩してくれるやろうしね」


「そういうことだったのか……」


事情を聞き終わった切島は、未だ驚きや怒りや焦りでバクバクなる心臓に手を当てながら爆豪を窺い見た。
隣で上鳴や瀬呂が「そういうことなら俺たちも力を貸すぜ!」と麗日とがっちり握手しているが、彼は黙ったままジッと梓の寝顔を見続けていて。

そして、


ーむぎゅっ


『痛ぁ!?!?』


頬を思い切りつねった。
痛みで飛び起きた梓の胸ぐらを乱暴に掴みぐいっと起き上がらせると「やっと目ぇ覚ましたかクソチビが!!」と顔面至近距離でメンチを切り始めたものだから周りは大慌てである。


「ば、爆豪!?ちょっ!梓ビビってるぞ!目ぇ白黒させてる!!」

「梓ちゃん起こさんようにって言ってたの自分やん!ひどい起こし方!!」

「ちょ、爆豪離せって!」

「るせェてめーらは黙ってろ!!おい、梓、お前、なんで俺に言わねェ!?最初に相談すんのは俺だろうが!!言われりゃ相手爆殺してやるに決まってんだろうが!!」

『え!?え!?ばくさつ!?』


寝ぼけ眼で混乱している梓に畳み掛けるように爆豪は続ける。がくんがくんと襟を掴んで揺らしながら、


「見合い嫌なんだろ!?この30歳のクソ野郎と結婚したくねーんだろ!?」

『……、え、かっちゃ…なんで、知って…』

「相手がどれだけ偉いやつか知らねェし、家同士のしがらみなんかもあるんだろうが、テメェは嫌なんだよな!?おい、梓、はっきり答えろ!寝ぼけ眼でパチパチ瞬きしてんじゃねェ!!」

『い、…い、やだ』


凄い剣幕だった。
至近距離で赤い三白眼に睨みつけられガクガク揺さぶられ恫喝され、圧に押されるように口を開けば、出さないようにしていた本心がずるりと出てしまった。

あ、だめだ。そんなこと言っちゃいけない。と私情に蓋をしようとするが、時すでに遅く、寝起きで頭が覚醒していないのも相まって、梓はくしゃりと顔をゆがめた。


『…や、だ。…やだよう。…かっちゃん。わたしこの人とけっこんしたくない。…添い遂げたくない…、』

「ッ……」

『かっちゃん助けてぇぇ…断り方わかんないよおぉでも結婚したくないうわあああんん』


堰を切ったように溢れ出した本音と涙に爆豪は思わず友人の前だということを忘れて梓をぎゅうっと抱きしめた。


「大丈夫だ。ぜってェなんとかする。この際、使える手全部使ってどうにかしてやる」

『できっこないよぉぉおお』

「出来るっつってんだろうが!俺1人じゃ出来ねェかもしれねーけど、何振り構ってられるか。クソだりーが、半分野郎やプロヒーロー…オールマイトのコネ全部使ってどうにかしてやるから泣き止め!!泣くな!泣くとは思わねェだろ!焦るんだよこっちは!!」


逆ギレし始めた爆豪ではあったが、彼の発言に瀬呂は開いた口が塞がらなかった。
あの、山よりもプライドが高い爆豪が、自らの力だけでなく周りを頼ると。梓のために。
本当に彼は何振り構ってられないのだろう。梓が嫌がってるというのももちろんあるだろうが、それ以上に自分が。
絶対に彼女の隣に自分以外の人間を立たせたくないのだ。

その覚悟が垣間見えて、やっぱベタ惚れじゃねーか…と思わず苦笑して隣の上鳴を見れば、何故かもらい泣きしていた。


(ぐすっ…梓ちゃん可哀想…どうにかしてやりてェ…ぐすっ)

(わかる、わかるぜ上鳴…。爆豪ォ、俺らも手伝うからな!何が何でも破談させようぜ!)
_142/261
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