朱嘆の華しゅたんのはな 永遠の恋とわのこい朱嘆の華 永遠の恋 序章1
───早く戻らなければ。
少女は急ぎ足で、純白の道を行く。
先程までは優しく降っていた雪も、今では豪雪に豹変し、寒い冬空も厚く黒い雲に覆われ、雷までが鳴り響いていた。
───寒い。
この国でも北に位置するこの町は、冬になると極寒の地となる。
───風邪を引いたりしたら、怒られちゃう。
その想いが、少女の足を一層速めた。
──────21世紀・中国。
鞄を抱きしめ、家までの雪道をひたすら歩く少女の名は紗桜───
────早く、春にならないかなぁ…。
雪に埋もれるこの国で、ただ春を待ち続ける紗桜。
ふと後ろを振り返ったその目に映ったのは、まさに幻影であろう 信じ難いもの。
───空に…。あれは何────?!
───陸地なの──────?