01
「ちょっ……、いい加減っ、に、してよっ」
こっちが大声を出せないのをいい事に、どんどん侵入しようとして来る手を必死に振り解いた。
『助けて』の声が虚しいだけだって事が解るだけに、ギリ と奥歯を噛み締める。
「っ……」
こ、の……
「おい」
「っっ!!!」
この野郎と拳を握った瞬間、聴こえた声と共に痴漢野郎が吹っ飛んだ。
最後は少し涙目になっていた私が茫然と見上げた先には、黒い胴着のような着物を着た……
「また変なのが出た……」
銃刀法違反も甚だしい、どう見てもヤバそうな男が立っていた。
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