02.捜索隊はどこへ
その日の夜、有志たちが食堂棟に集まった。
隊長:コニー・スプリンガー。
「よーし!これからコーボルト捜索を開始する!」
副隊長:マルコ・ボット。
「え?いつの間にそうなったの?」
参謀:アルミン・アルレルト。
「ずいぶん本格的なんだね…」
斥候:ジャン・キルシュタイン。
「はぁ!?何でオレが!」
捕獲担当:エレン・イェーガー。
「捕まえる必要あるのか?」
エレン担当:ミカサ・アッカーマン。
「エレンは私が守る」
食糧庫担当:サシャ・ブラウス。
「なら、食料は私が守りますっ!」
不審者担当:ライナー・ブラウン。
「あのなぁ…」
空気担当:ベルトルト・フーバー。
「……」
ちなみに、その場にいたはずのクリスタとユミルはここにはいない。
「んな遅い時間にクリスタを出歩かせられるか」
というユミルの方針だった。
「野郎ども!行動開始だ!」
「で、どこをどう探す?」
マルコが問う。
「そりゃ、あれだ。参謀に任せる!」
アルミンは苦笑した。
「じゃあまずは食堂から探そうか。それから、不思議な現象が確認されている他の場所を回る」
「よし!決まりだ!行け!ジャン!!」
「はぁ!?」
「お前、斥候だろ!」
「だから!何でオレが斥候なんだよ!!」
「まあ待てコニー」
ライナーがにやりと笑った。
「どうやらジャンは幸運のいたずら妖精殿にビビっちまってるらしい。行かせるのは酷ってもんだ」
コニーはほくそ笑む。
「そぉーだったか!悪かったな、ジャン!気付かなくてよ!」
「そうなんですか?ジャン」
「なんだ、ならオレが代わりに行ってやるよ」
「エレンが行くなら、私も行こう」
「バッカヤロォォ!!んなわけねぇだろ!!」
ジャンは真っ赤になって叫ぶ。
ライナーがジャンの肩を叩いた。
「じゃあ、行くんだな?」
「当ったり前だ!」
マルコはクスクスと笑う。
「あーあ。単純だなぁジャンは」
ジャンが恐る恐る食堂に足を踏み入れるのを視界の端に捉えながら、アルミンはふと後ろを振り返った。
「ベルトルト、帰っても大丈夫だと思うよ」
ベルトルトは力なく笑む。
「そうだね。でも別に嫌じゃないから」
「そうかい?ならいいんだけど」
「おーい、ジャン!どうだー?」
コニーが叫ぶ。
「どうもなにも、別になんにもねぇよ」
コニーとライナーは顔を見合わせる。
結局全員でぞろぞろと中に入っていった。
食堂内は、ただシンとしているだけで、特に変わったところはない。
コニーは拍子抜けした様子で、つまらなそうに辺りをプラプラしている。
「普通だな」
「ああ。普通だな」
エレンが返す。
「まあ、大人数で怪奇現象の正体を確かめようとした時なんて、たいていの場合何も起こらないものだよ」
アルミンが笑う。
マルコがそうだね、と相槌を打った。
「いいえ!まだ食糧庫を調べていません!あそこが本命なんですから、気を抜いちゃダメですよ、コニー!!」
「おぉ!そうだな!目撃談があるのはここだけじゃねぇし、他んとこも回ってみようぜ!」
「じゃあ、手分けして探したらどうかな」
アルミンが提案する。
「それじゃあ役割分担した意味ねーだろー」
コニーは口を尖らせた。
「でも、こんな大勢じゃ、出てくるものも出てこないんじゃないか?もう夜も遅いし」
「マルコの言うとおり。全員で一カ所ずつ回っていたら、時間が掛かって仕方がない」
ミカサの意見にジャンが力強く同意したのが決め手となり、一同は数カ所に散った。
サシャは一人食糧庫へ爆走していき、エレンとミカサは宿舎の裏庭へ、ジャンとマルコは洗濯所へ、ライナーはコニーに引っ張られてトイレへそれぞれ姿を消した。
そして、アルミンとベルトルトが残された。
「僕らは、どうしようか」
アルミンがベルトルトを見上げる。
「うーん…」
「訓練場の倉庫にでも行ってみる?ユミルが言ってた場所だし」
「そうだね。そうしようか」
(20131109)
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