「ブルーノ日記@」








 ○月×日 晴れ



 僕が不動家にやってきて、数週間が経ちました。
 今ではすっかり生活に慣れてきています。

 不動博士は、有名な大企業の社長。そのせいか、家もかなりデカイです。
 遊星もエリートコースを突き進んでいるので、更に富豪になるのかな?

 それにしても、遊星はお金持ちにも関わらず、節約が身に染み付いているんだ。
 今日も仕事に行く前に、今日の分のお小遣いを不動博士にあげていたよ。

 なんだか、遊星って一家のお母さんみたいだね。

 そんな事を遊星に言ったら、遊星は複雑そうに笑ってた。


 「遊星は、自分が恵まれてるからって、それで他人を卑下したりしないし、鼻にも掛けないから人に好かれるんだよ」
 って、不動博士が言っていた。
 機械の僕でも、なんだか分かるかもしれない。











 ○月□日 晴れ



 今日は一段と、遊星とクロウが仲が良かったよ。
 コードの抜き差しが荒かったみたいで、またクロウが文句言ってた。遊星はそれを完全にスルーして作業を進めてた。
 そして、クロウに黙ってさり気無く一部のプログラムを書き変えたみたい。

 後でクロウにバレちゃって、散々文句言われてたけど、やっぱり最後は遊星がクロウを黙らせてた。

 うん、いつもの二人だ。

 でも何で、クロウは改造を嫌がるんだろう?
 僕の場合は、自分の可能性をどんどん広げてくれるから嬉しいんだけどなぁ。
 改造してる時の遊星は楽しそうだから、僕も楽しいのにね。

 クロウは違うのかな?


 機械にも色々あるってことなのかな。










 
 ○月△日 曇り



 今、僕とクロウは遊星の職場に来ています。
 今日はマナーモードじゃないから、職場で働く方たちと色々話せて楽しいよ。

 クロウは、今見世物になってる。
 遊星がどんどん改造しちゃったからね、もう携帯じゃないような物になっちゃってるから。
 研究者の方たちが、興味津々なんだ。
 もしかしたら、クロウが携帯から軍事兵器に昇格しちゃうかもね!


 でも、クロウ大丈夫かな?
 そろそろ爆発しそうな空気が漂ってるんだけど…。あぁ、でも隣に遊星居るから大丈夫かな。
 いざとなったら、瞬時にクロウの動作を停止させそうだし。


 クロウ、頑張って!










 ○月○日 雨



 今日は雨の中買い物。
 遊星が、濡れないようにって僕たちのことを気にかけてくれるんだけど、そういう遊星が一番雨に濡れちゃってる。
 流石にクロウが怒っちゃったよ。街中なのに。
 でも、クロウの説教は、遊星が心配だからっていう証拠だからね。僕も止めないよ。

 流石に正論を言われてるせいか、遊星も上手く反論出来てない。
 今回の言い争いは、クロウに軍配が上がりそうだね。

 遊星も無理しすぎなんだから、少しは自愛してもいいのにね。










 △月×日 晴れ



 今、クロウと遊星がお風呂に入ってます!僕は横で見てるんだよ。
 クロウが防水加工されてるからって、遊星がお風呂に突き落したのが始まりなんだ。
 クロウがカンカンに怒っても仕方ないよこれは。

 遊星が言うには「一人で風呂に入るのもつまらなくなってきた。だからクロウを突き落した。反省はしているが後悔はしていない」だそうだよ。
 遊星って、色々ハッキリ言葉に出しちゃうよね。
 
 クロウの怒りも落ち着いて、今は湯船でじっとしてるよ。
 とりあえず、遊星が満足そうだから良いんじゃないかな?

 こうやって見てると、ただの兄弟みたいだね。
 








 △月□日 雷


 
 大きな雷が近くに落ちたみたい。
 電線をやられたのか、停電してしまって家は真っ暗。
 懐中電灯は何処にやったかなと立ち上がったら、いつも冷静な遊星の様子が可笑しかった。

 どうやら、幼いころのトラウマで、雷が大の苦手みたい。

 普段の姿からは想像つかないほど、雷に怯えている。
 流石のクロウも、これは初めての遭遇らしく、こちらも普段の姿からは想像つかないほど慌てている。
 ひとまず、この暗闇をなんとかしなくちゃ。
 懐中電灯を探している間、クロウに遊星を任せておいた。


 うーん、今頃クロウは固まってるだろうなぁ。どうすればいいか分からなくて。
 面白いけど、早く懐中電灯を持って戻ってあげよう。
 

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