「密着愛」






――休み時間





ク「んで、ここの問題はどうなるんだ?」


遊「そこはだな、ここの文節をこっちに移動させて…」


鬼「近い」


遊「ん?」


ク「何だ?」


鬼「近い。お前ら近い」


遊「そうか?」


ク「普通じゃね?」


鬼「お前らっ、常識を何処に不法投棄してきた!!」


ク「鬼柳じゃあるまいし…」


鬼「いいや、これだけは言わせてもらうぞ!!まずその配置はなんだ!」


遊「配置?」


鬼「お前らは普通に、勉強を教えて教わってーかもしれないけどな!可笑しいだろ!配置が!何でクロウの膝に遊星が座ってんだよ!可笑しいだろ!」


遊「……可笑しいか…?」


鬼「この子っ!感覚がマヒしちゃってる!!」


遊「そんなに可笑しいか…?」


ク「鬼柳、ちょっと耳貸せ」


鬼「な、なんだよ…っ」


ク「余計な事言うな。折角これが自然になったってーのに(ボソッ」


鬼「こいつっ、確信犯だった!!(ボソッ」


遊「なぁ、クロウ?これは可笑しいのか?」


ク「普通だぜ(ケロッ」


鬼「こ い つ」









――体育






ア「遊星、女子はバレーみたいよ?」


遊「バレーか…たまには別のもやりたいな」


ア「女子はバレーばっかりでつまらないわね」


ブ「男子はバスケみたいだよ?」


鬼「バスケか…クロウ、サポート必要か?」


ク「お前の顔面にゴールしてやろうか」


鬼「止めろ」


JA「……クロウ」


ク「何だ?お前も俺の身長を指摘すんのか?」


JA「違う。近い」


ク「は?」


ブ「…うん、確かに近いね」


鬼「近いじゃなくて…くっつくな、だろ」


ク「遊星を後ろから抱きしめて何が悪い(クワッ」


JA「開き直ったぞ」


ブ「遊星としてはどうなの?」


遊「別に困ることは何もないが……」


鬼「何も言うな、ブルーノ。遊星はな、クロウの暗示によって感覚がマヒしてるんだ」


ク「変なこと言うな(ペチンッ」


鬼「痛いっ!ぶったね!親父にしかぶたれたことないのに!!」


ク「じゃあもっとぶってやるよ(ペチンッ」


鬼「痛ッ!!酷いドSを見た!!」


ア「……ドSな彼氏はどう?」


遊「クロウはカッコイイと思うぞ」


ブ「恋は盲目って、こういうことを言うんだね」


JA「また一つ学んだな。……学びたくなかったがな」


ア「恋に溺れる遊星も可愛いわ」


ブ「アキさんもある意味盲目だね」


ク「鬼柳の頬は…叩き心地最高だな(ペチンッ」


鬼「ちょっ、いつまで引っ叩いて…っ!このままじゃ頬袋に大量に食べ物を詰め込んだハムスターみたいな顔になっちまう!!」


ク「そっちの方がモテるかもよ(ペチンッ」


鬼「痛い痛いって!やだもうこの鬼畜ッ!!」


ク「ははははっ(ペチンッ」


鬼「今まで見たことないような楽しそうな顔で叩いてるこの人!!」


遊「クロウが楽しそうで何よりだ」


JA「そこは人として止めろ」








――掃除





鬼「なぁ、クロウ?」


ク「なんだよ、ほっぺたを赤く膨らませて」


鬼「誰かが何度も俺のほっぺたを引っ叩いたからな」


ク「誰だろうな、そんな酷い事した奴は」


鬼「俺だって怒ったりするんだぞ?」


ク「よし、怒ってみろ」


鬼「仕返し怖いから怒らない」


ク「で?なんだよ?」


鬼「……。クロウってさ、バイト先で看板息子になってんだろ?」


ク「誰から聞いたんだ、そんなこと」


鬼「遊星が言ってた」


ク「……まあ、遊星なら仕方ねぇな」


鬼「遊星には甘い事…。んでさ?バイト先の常連客とかには、遊星の事を紹介したりとかしてんの?」


ク「してるわけねぇだろ」


鬼「あら、意外」


ク「遊星を常連客に紹介してみろよ……、中年オヤジ共に遊星が質問攻めにされんだろ」


鬼「お前…お客様は神様なのに…常連客をオヤジ共発言とか…」


ク「あの酔っ払いオヤジ共に遊星を近づけて堪るか」


鬼「男らしいんだけど口悪いな」


ク「分かったらさっさと掃除しろ。バケツを頭から被って運動場走って貰うぞ」


鬼「なにその精神的にも肉体的にも苦痛な罰ゲーム……」


ク「一秒以内に掃除始めねぇと、全裸でバケツ被って校舎内走って貰うぞ」


鬼「お…まえ……どんだけ鬼のような発想持ってんだよ……っ」






――ガラッ







遊「ゴミ捨てて来たぞ。クロウ、鬼柳を苛めてないだろうな?」


ク「全然苛めてないぜ?楽しく会話してたとこだ。なぁ?鬼柳?」


鬼「え!?え…えと……」


ク「………なぁ?」


鬼「(ビクッ)すっげぇ楽しく会話してたぜ?!遊星も早く帰って来とけば良かったのに!!」


ク「……二秒以内にまけといてやるよ(ボソッ」


鬼「く…クロりん…やっさしー……(ボソッ」

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