「背負ったもの」
レ「なぁ、優星?」
優「なんだ?」
レ「何でお前……髪切らねぇの?」
優「……これか?」
レ「もう随分と長いこと伸ばしてるじゃねぇか」
優「……レイヴン、俺がいつから伸ばしてるか…気づいてるか?」
レ「そりゃ、ずっとお前を見てきたわけだし、気づいてるけどよ…。お前の親父さんが亡くなった時からだろ?」
優「そう…、その時から」
レ「…俺が聞いて良いことじゃねぇかもしれねぇけど」
優「いや、構わないさ…幼馴染だしな。俺が髪を切らないのは、遊星と勇星が父親の姿を忘れないようにだ。今の俺は、父さんに似ているだろう?」
レ「まあ…確かに」
優「俺は、父さんの面影を背負って生きてる。俺が面影を背負ってる限り、父さんも一緒に生き続ける。…そう思ってるだけだ」
レ「成長しても、その優しさだけは変わんねぇよな。俺、感動した」
優「人のこと言えないんじゃないか?俺だって知っているぞ」
レ「何のこと?」
優「お前が普段からクロウを怒らせてるのも、ルックに絡んで行ってるのも、二人に悲しませる隙を与えないようにだろう?」
レ「……俺を買いかぶり過ぎだな」
優「そうか?少なくとも…俺の知ってるレイヴンは、そういう男だけどな」
レ「お前の中の俺は、相当美化されてんなぁー」
優「……本当、誤魔化すのが下手だな(クスッ」
レ「………うっせ///」
遊「兄さん、寝るならベットで寝てください。風邪ひきますから」
優「……パス」
遊「パス無しです、兄さん。ほら、ソファーは駄目」
優「……ん、もう少し…」
遊「全く…そういうところは、父さんそっくりですよ」
優「そっくり?」
遊「そっくりです」
優「……そ、良かった(ボソッ」
遊「兄さん?」
優「なんでもない。……おやすみ(ナデナデ」
遊「……おやすみなさい」
勇「遊兄ちゃん、シーツ敷いたけど…」
遊「え、あぁ…有難う」
勇「なんだよ、遊兄ちゃん。優兄ちゃん寝てるじゃないか。ソファーで寝かすなって言ったの、遊兄ちゃんだろ?」
遊「……たまには良いさ」
勇「珍しい…」
遊「勇星」
勇「ん?なに?」
遊「似てると思わないか?寝顔。父さんに」
勇「ん……うん、そうだな」
遊「おやすみ、兄さん」
勇「おやすみ、優星兄さん」
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