「ご近所付き合い」
――ピンポーン
レ「はいはい、どちらさんー?」
遊「あ…こんにちは」
レ「お、遊じゃん。クロウなら買い物行ってっけど…」
遊「いいえ、今日は別のことで。オカズ作りすぎちゃったんで、お裾分けに…」
レ「マジで?悪いなぁー、クロウもルックも喜ぶと思うぜ。サンキューな」
遊「口に合わなかったら申し訳ないんですけど…」
レ「そんなことねぇよ。遊の手料理、俺は好きだぜ?美味いしなー」
遊「有難うございます」
レ「折角だし、あがってけよ。いい茶菓子があるんだ」
遊「え、でも…ご迷惑が…」
レ「なに言ってんだよ、古い付き合いだろー?良いからあがれって」
遊「……じゃ、じゃあ…お邪魔します」
レ「大学の方、どう?クロウの奴、何も話さねぇからさ」
遊「まあ…大学の方は普通ですけど…、少なくともクロウは楽しそうですよ?」
レ「そっかぁ?大学もいろいろやること多くて、大変じゃねぇ?」
遊「確かにやることは多いですけど…レイヴンさんの方が大変だと思いますよ。一日にいくつものデュエルをこなすでしょう?」
レ「まあ…それは慣れだな。慣れりゃ、いくつでもこなせるもんだぜ?」
遊「そういうもんですか…。でも、だからって無理しないようにしてくださいね?皆心配しますから」
レ「……遊、本当優しいなぁ…、その優しさを弟達に分けてやってくれ」
遊「照れくさくて口に出さないだけじゃないですか?」
レ「えぇ……なんだよそれ、寂しい…」
遊「だって、クロウもルックもそういうタイプじゃないですか」
レ「もう少し素直になればいいものの…」
遊「言っておきますけど、レイヴンさんも人のこと言えませんからね?」
レ「………いや、俺は…素直だと…思うんだけど」
遊「二人に比べれば、まあ素直ですけど」
レ「手厳しいなぁー(ナデナデ」
遊「か、髪が…っ乱れ…っ」
――バタンッ
ク「ただいまー。誰か来てんのかー?」
レ「チッ…帰って来たか」
ク「舌打ちってなんだよ……なんだ遊星じゃん。来てたのか?」
遊「お邪魔してる。オカズを作りすぎてな、お裾分けに来たんだ」
ク「そうなのか?悪いなー、いつもいつも」
レ「お前帰ってくるの遅すぎ。遊も待ちくたびれたぜ?」
ク「買い物だって言っただろ。それに、遊星の性格上用事が済んだらすぐ帰るはずだ。兄貴が無理矢理家に引き込んだんだろ」
レ「無理矢理引き込んでねぇよ。同意の上だ、同意の上ー!なぁ、遊?」
遊「え?えぇ、まあ、はい」
ク「大丈夫だったか遊星?兄貴の相手、大変だったろ?」
レ「何言ってんだ。んなわけないだろ。なぁ、遊?」
遊「えぇ…まあ…はい」
レ「できればもう少し遅く帰ってくれりゃ良かったのに」
ク「どんだけ遊星と遊びたいんだよお前」
レ「だってよ…、勇坊もエースも十六夜姉妹も鬼柳兄弟も…俺に怯えて近づいてこねぇんだもん」
ク「兄貴が散々弄ったり脅しまがいのことをしたり襲いに行ったりしたからだろ。自業自得だ」
レ「おい、そんな赤裸々に暴露すんな。遊まで俺から距離置いちまうだろっ」
遊「いえ、俺なら大丈夫ですよ(慣れたし)」
レ「遊が俺の弟になれば良かったのに」
ク「兄貴、新品の包丁の切れ味…試してぇんだけどさ」
レ「こんな弟だが…これからも仲良くしてやってくれ」
遊「酷く…ルックが気の毒だと思いました」
+++++++++++++++++++
ル「たっだいまー」
ク「お帰り」
ル「(ビクッ)な…なんで包丁持ってこんな玄関先に居るんだよ…」
ク「いや、気にすんな。兄貴見つけたら教えてくれ」
ル「(あ、…兄貴またなんかしたのか…?)」
遊「あぁ、ルックお帰り」
ル「おーっ、遊兄じゃん!なんだ、遊びに来てたのか?(バタバタッ」
遊「遊びにというか…お裾分けに来ただけなんだが…いつの間にかこうして座ってるというか」
ル「……もしかしなくても、兄貴が引き留めた?」
遊「もしかしなくても、引き留めたな」
ル「わりぃな、遊兄…俺からは兄貴に代わって謝罪しか言えねぇ…」
遊「気にするな、迷惑じゃないから(ナデナデ」
ル「……いつまで経っても子ども扱いかよ」
遊「仕方ないだろう?近所付き合いも長いんだしな」
ル「ちぇー…。ところで、兄貴がまた何かしたのか?」
遊「俺にはなんとも…。気が付けばこんなことになってた」
ル「兄貴もクロ兄もいっつもこうなんだよ。もう気にせずに無視してて良いぜ」
遊「ホーガン家は賑やかで良いな」
ル「不動家はどうなんだよ?勇星とか騒ぐだろ?」
遊「いや、勇星はそこまで騒がないぞ?家では大人しいもんだ。兄さんは…アレだからな」
ル「へぇ。なら泊まってけば?」
レ「おー!良いな、泊まってけよー!」
ル「うおっ!いつから居たんだ!?」
レ「え、今。遊、泊まってけよー歓迎するぜ?」
ク「兄貴、皿洗え(ガシッ」
レ「うぐっ……、分かった分かった、やりゃあ良いんだろ…」
ク「遊星も、この二人の言うこと無視して良いぞ。強引な奴ばっかだからな」
遊「そうだな……、今日泊まって行くかな」
ク「マジで!?」
ル「やった、さすが遊兄!」
レ「遊、俺と寝ようなーっ」
ク「兄貴と寝たらどうなるか分かったもんじゃねぇよ。遊星はルックの部屋で寝たらどうだ?」
ル「良いぜ、俺の部屋で」
遊「じゃあ、今日はお世話になるよルック」
ル「寝る前にデュエルしようぜ」
レ「じゃ、俺もルックの部屋に…」
ク「てめぇは自分の部屋で寝ろ」
レ「お前…っ兄貴に冷たすぎだろ!」
ク「今に始まったことじゃねーよ。ほら、皿洗え」
遊「クロウ、俺も手伝うよ」
ク「良い、良い。座ってろ、お客さんなんだから」
ル「クロ兄もそう言ってるし…遊兄、勉強教えてくれよ」
遊「あぁ、良いぞ」
レ「……俺も遊びたいんだけど」
ク「我が儘言ってねぇで手伝え」
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