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恋の予感




こちらの続き


平助ver.

総司と千鶴が恋人同士になった。

ってことは、必然的にみょうじは失恋したことになる。

俺はみょうじが総司のことを好きなのを知っていたし、総司と千鶴が両想いってこても知っていた。
そして、みょうじはよく総司から相談受けていたから腹をくくっていたんだとばかり思っていたんだ。


「じゃ…末永く幸せになれよ!」

「あ、なまえ…」


みょうじの声と総司の声がしたと思えば、いきなりダッシュで教室を出て行ったみょうじの姿。


「あ、平助」

「総司…今、みょうじに何したんだよ」

「恋人ができたことを報告してただけだよ。なまえには随分とお世話になったから」


想像してみた。
好きな人から恋人ができたと言われる恐怖を。
知っているからこそ何もできない辛さを。

みょうじはずっとそんな思いをしてきたのか…?

そう思ったら、いても経ってもいられずみょうじを追いかけた。


「なまえ…ごめんね…平助、任せるよ…」


そんな総司の言葉など知らず。

夕方の学校を走る、走る走る。
どこに行ったかなんて検討もつかない。
だからこそ探し回る。

今、みょうじを独りにしてはいけない。
脳みそが身体全体に伝えている。

あれ、でもなんで俺こんなにみょうじのこと考えているんだ?

何故だかわからないけど、いつも目で追っていた。


「わ、からな、い…」


校舎の中は全て回ったが、見つけるどころか、人一人いなかった。
外靴もあったので、外には出ていない。

そうすると、最後に残るは屋上のみ。

立ち入り禁止を越えて階段を上れば、涙をすする声。


「見つけた…っ」


上がってしまった息を整え、心の準備をして鉄の扉をゆっくり開ける。


「みょうじ?」

「藤堂…?」


キョトンとしたみょうじの目は真っ赤。
制服の裾も塗れているのが見えた。


「え゛っ泣いていたのか?!」


俯いてしまったみょうじから、


「別に、何でもないよ」


とぶっきらぼうに放たれる声。
その声がどうしようもなく弱々しくて、また泣きだそうとする。


「あっちょ、な、泣くな!」


頼むから、もうあいつの為に涙を流さないでくれ。

何ができるか考えた末に思いついたのは、


「ーっ…あーもうっ」


ぎゅ。


「ひ、人の心臓音聞くと落ち着くって聞いたからよ…」


やっぱりびっくりしてる…。
だけど、涙は引っ込んでくれたようで。

それにしても、こいつちっせぇな…。


「なんか、音、速くない?」

「気にすんな…っ!」

「ふふ…」


わ、わらった…!


「落ち着いた、か?」

「だいぶ」


よかったって言いながら見下ろしたみょうじの顔はすごく可愛くて、思わず俺はドキッとしてしまった。

薄々気づいてはいたが。
やっぱり…。


「も、もう大丈夫だから、あの…」

「あ、あぁ…」


離れた身体が寂しいと感じてしまう。

あぁ、やっぱり俺はこいつのことが好きだ。





**********
まだ続きます。
前回の平ちゃんバージョン。
総司は主人公ちゃんの気持ちには気づいていたが、どうしようもなかったっていう感じです。
青春っぽいですねー。

(2011.9.21)









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