お目覚めですか総司と千鶴が恋人同士になった。 ってことは、必然的に私は失恋したことになる。 私は総司と幼なじみで、色んな相談にのったりしたから二人がだいぶ前から両想いなのは知っていた。 だから、さほどショックを受けないと思っていたのだけれども。 「おめでとう…」 「ありがとう、なまえのおかけだよ」 「…っ…ち、千鶴を泣かせたら容赦しないんだから!」 「うん」 やばい。今泣きそうだ。 これ以上言葉を発したら涙が出てきそう。 「じゃ…末永く幸せになれよ!」 「あ、なまえ…」 言い逃げ、ダッシュ、逃げる逃げる。 どこに行こうかなんて考えていない。 兎に角、階段を駆け上がって着いた先は屋上。 はぁっはぁっ…。 息が上がり、本気で走ったから疲れたので、屋上で寝っ転がる。 少し冷たい床が気持ちいい。 だんだん頭が冷静になってきたら、次に思うのは総司たちのこと。 「あーあ…私の方が好きだったんだけどなぁ」 でも千鶴の可愛さには負ける。 千鶴を選んで当然。 こんな応援していたのに別れてほしいとか、想いを伝えてもいないのに総司は私を好きになってくれるとか、私の心は真っ黒なんだから選んでくれるはずがない。 「ばっかばかしい…」 全てがどうでもよくなって、涙が枯れるまで泣き続けた。 「みょうじ?」 暫く泣き続け、落ち着いてきたかなって思った時に思わぬ人物登場。 「藤堂…?」 「え゛っ泣いていたのか?!」 きっと目は真っ赤なんだろう。 ひどい顔しているんだろう。 「別に、何でもないよ」 ぶっきらぼうに言う自分が可愛くなさすぎて、こんなとき千鶴なら気を使った言葉を出すのだろう。 千鶴と比べたら、枯れたであろう涙がまた出てきた。 「あっちょ、な、泣くな!」 藤堂困ってるなぁ。 困らせちゃってごめんね。 心の中はこんなにも素直なのに。 「ーっ…あーもうっ」 頭をがじがじと掻いて、何をするかと思えば。 ぎゅ。 「ひ、人の心臓音聞くと落ち着くって聞いたからよ…」 落ち着くも何もびっくりしすぎて、涙引っ込んだ。 「なんか、音、速くない?」 「気にすんな…っ!」 「ふふ…」 「落ち着いた、か?」 「だいぶ」 よかったって見上げた貴方の顔はひどく優しくて、不覚にも私はドキッとしてしまった。 なんだ?この感じ? こいつこんなにかっこよかったっけ? 「も、もう大丈夫だから、あの…」 「あ、あぁ…」 離された身体が寂しいなんて、何故? ********** 続きます。 初々しいの書きたかった。 失恋したての女の子に抱きつくなんてずるいぞ平ちゃん。 (2011.9.20) |