長編恋の解き方 | ナノ




21




学校へはよくサボるようになった。
千鶴からは心配のメールはくるが。

《ごめんね》

としか言いようがない。

そして、今日は皮肉にもよく晴れた日曜日。


『街に行ってみるかな』


ふと思いついた行動は意外にも買い物という、女の子らしい考え。


『ケーキ食べたい』


甘い物に目がない私は、ここ数日甘いものを摂取していなかったのだ。

そりゃ物足りなく感じるわけで。

今日は気晴らしに、甘味巡りをすることにした。


『やべ、テンション上がってきた』


嫌なこと続きだったから、たまにはパーッとね。

気分転換のため、陰気臭い部屋を後にした。












『んー!甘いのが身体に染みるぅ!』


テーブルの上には端っこから、モンブラン・苺ショート・チーズケーキ・洋梨タルト・シュークリーム・ガトーショコラ・プリン…etc.

とにかく甘いもので溢れていて、確実太るなぁと。


『まぁそれもいいかも』


幸せ太り。
なんていいものだろう。

ただ、幸せなのはこの瞬間だけで、明日になればまた学校。
あの日々は何処へいったやら。


『はぁ…』


私はただ溜め息しかでない。


「千鶴っここで休憩しようぜ!」

「そうだねっ」


聞き慣れたカップルの声。
間違うはずもなく、これは平助と千鶴の声だ。

やっばい、と思い身を隠す。
とはいえ、顔を見られないようにするだけだが。


『う、後ろの席かよ…』


ウェイトレスに通された席は私の後ろ。
顔を見られないと言う点ではいいのだが、居心地は悪い。

謹慎が明けてから顔を合わせて喋っていないし。


「なんかこうしてのんびりするの久しぶりだね」

千鶴の声を聞くと、あの日総司とキスしている場面が鮮明に思い出される。
あのこと、平助は知ってるのかなとか思いながら。


「だよなー。最近じゃ総司たちがピリピリしてたしな」


その言葉に罪悪感を覚え、ケーキに伸ばしていた手は行き場をなくした。

結局のところ、私は人に迷惑しかかけられないのだと。
噛みすぎた唇はツゥと紅い血を滴らせる。













人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -