長編恋の解き方 | ナノ




05




早足で教室に戻ると、何やら騒がしい。


「だから何度も言わせないでよね。ほんと平助君は馬鹿だなぁ」

「うるせぇよ!総司にだけは言われたくねぇ!」

「ふ、2人ともやめなよー…」


2年の教室で何やってんだ、お前ら。

暫く傍観者でいるつもりだったのに、


「あ!なまえ、おかえり」


総司のせいでバレた。

1つ溜め息を吐いて近くに行くと、なまえはどう思う?!って平助に言われて。


『話の流れもわからないのにどう思うって聞かれてもな』

「いつから居たんだ?」

『ちょい前』


そっかぁって残念な顔されても。
呆れ顔の私は、同じく呆れ顔の千鶴に訳を問いかける。


「なんか、昼から平助君がなまえと本当に付き合ってるのかって…」

『何言ってんだ…平助は…』


これ以上聞いていても拉致があかないので早々に身を引くことにした。

てかこれ以上色々詮索されても困るしね。


『はいはい。馬鹿なこと言ってないで、もう帰ろ?』

「俺は…っ!」

『平助、あなたは自分のことをなさい。総司行くよ』

「うん」

「はっ自分のことって…うおいっ!!」


逃げるなー!って後ろで叫んでる平助は千鶴に任せるとして。

よくまぁ上級生の教室で叫べるなぁって感心する私。


『ったく、平助は何がしたいんだか』

「千鶴ちゃんを盗られたくないんじゃない?」

『あぁ…そう』

「…そんなことよりさ、駅前にケーキ屋できたの知ってる?」

『えっ?!知らない!』

「今から行こうか」

『きたこれぇぇえぇええええええ!!!!』


知ってるんだ。
これが総司なりの優しさだってこと。
私が嫌なこと続きだったり落ち込んだときには必ず甘いものを食べに連れて行ってくれる。

その優しさに泣きそうになるの。

私のことを好きだと勘違いしてしまうから。

だから私は、


『ケーキー!』

「大好きだね。甘いもの」

『総司もでしょ?』

「まぁね」


見て見ぬ振りをするんだ。
最低な人間だから。














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