年とった気がする。「私のことなんて話せることあまりないですけど」 「あるだけでいい」 再び幹部たちが集まる部屋へと連れて行かれた。 意味もわからずポカンとしているが、とりあえず助かりそう。 「えと、私はみょうじなまえと言います。女です、一応。年齢はおおよそ十七。十年ぐらい前に両親が他界、それからこの国を見たいが為に、一人旅をしています」 「ってことは七つのときから旅してるってことか?」 「そうなりますね」 実は、その辺の記憶が曖昧だったりする。気づいたら両親が殺されていて、気づいたら旅をしていた。きっと生き残れてきたのは、この鬼の力のおかげだろう。 「引き取ってくれる親戚などはいなかったんですか?」 山南敬助が優しく、いや疑わしそうに聞いてくる。疑うの正解だよ。 「村単位で失ったので、親戚もみないなくなりました」 「村…単位…?」 「そうです。私の“家系”が集まっていた村だったので」 みんな神妙な顔して、空気が凍り付いたような。そりゃそうか。結構重ったらしい話だからな。こういう時はどうすればいいんだっけ?母様から教えてもらった気がするんだけど…。 「じゃあ…次はこいつの待遇の置き場だな…」 「土方さん、この子僕の小姓にしますよ」 「…ん?」 「何言ってんだ、てめぇは」 「だって土方さんの小姓は千鶴ちゃんでしょ。なら、なまえちゃんは僕の小姓」 「いや意味がわからな「総司の近くも安心だからな!頼んだぞ、総司!」おや?」 また、よくわからない展開に。私がとやかく言える立場じゃないのは知ってるんだけどね。だけどね、この男自分勝手すぎないか。 「よかったね、なまえちゃん」 「わーい、嬉しいですぅー」 「はは、稽古場に行こうか」 首根っこ掴まれ、道場へと強制連行。首!首締まってる!死んじゃう!流石に無理!死ぬぅうぅうううううう!!!! その頃、広間に残された幹部らは唖然としていて、局長は「仲が良いな」と言い、副長は溜め息。 心の中で密かに「がんばれよ」と哀れむのだった。 「ねぇ、なんで試合してくれないの?」 「組長と試合なんてしたら殺されちゃう」 本気だったのにムッとした顔された。いやぁ、殺されるより、殺しちゃいそうだけど。 「私まだ死にたくありませんし」 「手加減してあげるって」 「笑いながら言われても説得力ありません」 とうとう諦めたのか、ちぇーと言いながら歩みを進める。一体どこに行くんだ。足は道場へとは向かわずに誰かの部屋へ来た。言わずとも誰の部屋かなんて一目瞭然であって。 「誰の部屋ですか…」 「僕の部屋」 ですよねー!なんで沖田総司の部屋に連れてこられたのか不明で仕方ない。 「なんで私はここに連れられたんですか」 「仕事の為に決まってるでしょ」 「仕事…?」 「僕、実践意外の仕事はしない主義なんだ」 「(…しろよ!!)」 「だから、こっちの方頼むね」 そう言われ指さされた書類は高くつまれており、なんとも、なんとも言えない…いやほんと。よくもまぁここまで溜めたよね。そして、よくもまぁ土方さんも見逃してたよね。 「はぁ…わかりましたよ」 「流石なまえちゃんだね」 「暫くは自室に引きこもるので「僕の部屋でやってね。組長命令だよ」…はぁ?!」 これが職権乱用ってヤツです。覚えておきましょう。じゃなくて!なんでわざわざてめぇが溜めた仕事をわざわざてめぇの部屋まで来てやらなきゃなんねぇんだ! 「これが嫌なら僕と試合してよ」 「わっ…かりましたよ…行けばいいんでしょう?!」 ニヤニヤとした顔は気持ち悪いほどで。あー畜生腹が立つ。でも、すぐに気づいた。あ、これ監視のためか。 「(まぁ当たり前か)」 そこで私は思った。私、新選組で何がしたいんだろう。 「なまえちゃん?」 「なんですか」 「何ボーっとしちゃってるの」 「考え事です」 「何を考えていたの」 「色々です」 ふーん、と笑う沖田。本当、何考えているかわからない。だんだんと、ここでの生活が不安になってきたぞ。大丈夫か、私。 |