「契約って何の契約ですか?」
「血の契約だ」
「……は?」
グッゼさんの言っている意味がわからない。
「どういうことですか?」
「我々ヴァンパイアは特定の人物からしか血を受け取らない」
「特定の人物?」
「あぁ。血の契約をした奴等からだ。今から420年程前。お主の先祖の女が事故で失った弟の願いを叶える為、我に血を売った。その時から我はその女の家系の者から血の契約をし、生きている」
「我って……。グッゼさん、貴方は一体何歳なんですか?それに、その家系ってことはお父さんやお母さん、おじいさんもですか?」
「……もう歳など忘れた。血は女からしか貰わん。だからタツロウの元にその家系の女がいると聞いて15年前に訪れていたのだ。カンナ、我と契約をしてくれるか?」
グッゼさんがワイングラスを置き、再び私の元へと歩み寄る。
「契約をしたら私は魂を捕られるのですか?」
「さあな?」
徐々にグッゼさんの金色の目が紅に染まったが、不思議と恐怖はなかった。
なぜなら、彼が私に優しく微笑んでいたからだろう。