あれ、さっきまで女の子居なかった?
はい。
前回、長い髪の女の人とリアル鬼ごっこ(←)という過激な運動をした○○です。
「○○。早く」
「・・・はぁーい・・・」
「今日も、きっと楽しいぞ」
「・・・・・・おぅ」
はい!!!!!
察しの良い子は、今の会話で、俺がどんな状況下にあるか、わかったよね!?
・・・・・・はぁーい。また、恭也と共に肝試しをすることになりましたぁ。
俺の肝は、随分前から冷えッ冷えだ!!!!!!!
もう誰かあっためてくれ!!!!!!!!
「このお化け屋敷だ」
恭也の楽しそうな声でわれに返った俺。
・・・なんだ。見たところは、普通のお化け屋敷じゃないか。
恭也のことだから、廃墟とかに行くかと思ってたけど・・・
あ。
今日は、他の参加者もいるっぽい。
女の子とお母さんっぽい人がこっちを見て頭下げてたし。
慌てて頭を下げ返した俺。
ぉ、女の子の目の前じゃ叫べないな!!!!!よ、よし・・・気合を入れていこう。
他にも、若い男の人と女の人のカップルっぽいのがいる。
すっごぃなぁ・・・
やっぱり、夏って、こういう家族連れとかカップルがお化け屋敷はいるのかなぁ。
受付のおじさんに誘導されて、次々に客が入っていく。
俺たちよりも先に、あの女の子とお母さんの親子が中に入って行ったのを見届けていたら、受付のおじさんが笑顔でこっちを見た。
入って良いって意味だろうか・・・
「行こう、○○」
「ぉ、おぅ」
ドキドキッとしながらお化け屋敷に突入。
が、特に怖いものは見当たらない。
いたって普通のお化け屋敷だ。
恭也は早々に携帯を取り出して、何かをし始める。
・・・まぁ、怖さがまだ見当たらないし、しょうがないか。
「・・・・・・」
どうやら、追いついてしまったらしい。
前方には、先に入ったはずの女の子とお母さん。
あ。俺たちが来たことに気付いたのか、前方を歩いていた女の子が笑顔で振り返って、こっちに手を振ってきた。
可愛かったから、俺も手を振り返す。
それを見てたお母さんっぽい人が、小さく笑っていた。
うん。ほのぼのとした良い雰囲気だ!!!!!!
それに、悲鳴も聞こえないし、幽霊がいるわけでもない。
「なんか、全然怖くないな」
「お。珍しいな、○○がそんなこと言うなんて」
そういう恭也も、物足りなさを感じているのだろう。
さっきから、携帯で別のオカルトを探し始めてたし。
・・・勘弁してくれよ。
その後も、特に怖いことはないまま。
そして、お化け屋敷の外へ。
「ふぅ・・・」
「あんまり怖くなかったな」
恭也の言葉に、今回ばかりは俺も笑顔で頷く。
今日は怖いことは全然なかった!!!!!
本当によかった!!!!!!
「ぁ・・・」
そこで俺は気付く。
「あれ、さっきまで女の子居なかった?」
周りを見渡す。
あれ。女の子がいない。
お母さんと帰ったのかな?
そういえば、他の客も、何故だかいない。
そう不思議に思った俺の耳に、恭也から爆弾が投下された。
「ん?ははっ。馬鹿だな、○○。ずっと、俺と○○の二人っきりだったじゃん」
え。
「そもそも、このお化け屋敷、随分前に潰れてるし。○○、見なかったのか?入り口の『取り壊しにつき立ち入り禁止』って看板。こんなところに来るのは、俺と○○ぐらいだって」
恭也が笑いながら言っている。
・・・・・・。
今回は平和に負われると思ったのにッ・・・
「○○?○○・・・?」
俺は恭也に耳元で「○○!!!!!!!」と叫ばれるまで、その場でずっと放心していた。
もう嫌だ!!!!!!!!!!!
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