お前マジでふざけるなよ?!服引っ張るなって!!
教訓。
幽霊っぽいと思ったものは、トコトン警戒しろ!!!!!!
・・・はい。こんばんは、今日も元気にビビってる○○君です。
「・・・俺の睡眠時間を返せ」
「怒んないでくれよ。悪かったって」
夜中に携帯の鳴ったと思えば、恭也からの電話。
『今、お前の家の玄関の前にいるんだ』
・・・・・・。
どこのメリーさんだよ!!!!!!!!!!!!
そんな電話に心の中で突っ込みを入れた俺は、すぐに玄関へと飛び出した。
そこには「よっ」と笑顔で立っている恭也がいて・・・
ものの見事に、今日も肝試しに強制参加させられることとなった。
マジで勘弁してくれよって感じだ。
前回なんて、幽霊が俺の周りにめちゃくちゃいたのに、それに気付かずに最後の最後で恐怖したんだぞ?
とりあえず、肝試しなんて・・・もう懲り懲りなんだ!!!!!!!!
「今日は、墓地にでも行こうと思ってさ」
「わぁ・・・定番だねぇ・・・」
もう、俺の魂は抜けそうだ。
もはや、歩きながら気絶できそうだぞ。
前と同じように懐中電灯を持って恭也の横でビクビクしている俺。
恋人の前で情けない。という感情は、遠の昔にドブに捨てた。
「今日は月明かりもあるし、懐中電灯はしばらく消そうか」
「げッ・・・ま、マジで?」
「その方が、雰囲気でるし」
笑いながら懐中電灯の明かりを消した恭也に、俺は絶望。
「墓地抜けたら、つけるからさ」
くそぉッ・・・さっさと抜けろ!!!!!!!
俺は自然と早歩きになる。
恭也が「早いって○○」と笑ってる。
笑ってられるのはお前だけだ!!!!!!俺は今にも失禁しそうだ!!!!!!!←
「わっ!!!!!!!」
「ぅぎゃぁぁぁぁあああああああああああああッ!!?!!!!????!?!?!?!!!?!??!?」
俺は絶叫してから、ハッとする。
背後には、にやにや笑っている恭也。
「ぉ、驚かせるなよ!!!!!!」
「悪い悪い」
今の『わっ!!!!!!!』は恭也のものだったらしい。
わざわざ俺の後ろに回って・・・卑怯だ!!!!!!!
うぅッ・・・ぉ、驚かせやがって!!!!!!
「○○の本気で怖がる様子が面白くて」
ブチッ
こいつッ・・・
俺が視えるのを知らないからそんなことが言えるんだ!!!!!!!
「恭也・・・ぉれ、今回ばかりはマジ切れた」
「ぇ?○○?」
ふつふつと湧き上がるこの怒りを、今此処でぶつけるしかない。
「もう、嫌だ!!!!!!!お前の我が侭には付き合わないからな!!!!!」
毎回毎回、俺がどれだけ怖い想いをしてると思ってるんだ!!!!!!それなのにお前はッ・・・!!!!!!
フンッと言いながら恭也から顔を背け、すたすたと前を歩き始める。
後ろからついてくる恭也は「ごめんって、○○」と言っている。
クィクィッ
服の裾を引っ張って気を引こうとしても、俺は振り返らないからな!!!!!!!
・・・ちくしょぉ。今回ばかりは、許してやらねぇ!!!!!!!
クイッ、クィッ
どんなに謝られても、許してやらね――
クィクィ、クイ、クィッ
「お前マジでふざけるなよ?!服引っ張るなって!…え、あれ?いや…悪い、気のせいだ…」
しつこいんだよ!!!!!と怒鳴りながら振り返った俺の目に映ったのは、きょとんとしている恭也。
その右手には携帯。左手には懐中電灯。
しかも、俺と恭也の間の距離、1メートルとちょっと。
・・・恭也が俺の服の裾を引っ張れるわけがない。
「○○?」
「な、何でもない。ぃ、ぃやー・・・俺、ちょっと怒りすぎたかも。な、仲直りに手を繋ごう!うん!!!!」
「ん?まぁ、いいけど・・・」
不思議そうな顔をしながら携帯を仕舞って、俺の手を握る恭也。
・・・怖くて、許す許さないどころの話ではなかった俺は、とりあえず恭也にすがっておくことにした。
家に無事帰ってきて服を確認したら、掴まれたらしきそこに、人の手形のような土汚れがくっきりついてて、直後俺は気絶したという余談もあるが、それは気にしないでおいてくれ。
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