×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



本当は今すぐ会いたい




○○が今日は学校に来てなかった。


何でも、風邪を引いたそうだ。

○○の自称親友が、周りにそれを言っていた。


昨夜の電話では全然そんな感じはしなかったのに・・・

そんなことを思いながら帰宅した僕は、電話の前に立つ。





「・・・・・・」

受話器をギュッと握った。


迷惑だろうか?僕が電話して・・・


風邪は大丈夫なのか、明日は学校に来れそうか、それが気になって仕方ない。

けど、きっとすでに○○の友達が彼に電話をしてるはずだ。



ただでさえ風邪で苦しんでいるのに、電話をして大丈夫なのだろうか。

そう思うと、なかなか電話できずにいた。




「っ・・・」


ピッ、ポッ・・・


ゆっくりとボタンを押す。

彼の電話番号をしっかりと覚えていた自分に、少し驚いた。




プルルルルルッ



無機質な音が受話器から聞こえる。

何度も続くコール音。


もしかしたら、出られる状況じゃないのかもしれない。

迷惑だったかもしれない。


どうしよう、どうしよう・・・







ガチャッ

《もしもし・・・》






「ぁっ・・・」

普段よりも少しだけトーンの落ちたその声にドキリッとする。



「も、もしもし・・・ぇと、ぁ・・・」


《ゴホッ、もしかして・・・セブルス・・・?》


まだ名前を言ってないのに、彼は僕のことを分ってくれた。

それが嬉しく思ってしまう。



「ぁ、あぁ・・・」


《珍しいなぁ、セブルスが俺に電話なんて・・・》

珍しいというより、初めてだ。




「今日・・・風邪で、休んでいたな」

本当は、具合は大丈夫か?とか、聞こうと思っていたのに、出てくる言葉はこんなものばかり。



《ぁー、うん。ゴホッ・・・はは、ちょっと熱出た》

少し嗄れている声に、ちょっとではないのだと分る。


無理をしているのかもしれない。

電話をしたことを申し訳なく思う。






《すぐに元気になって、セブルスに会えるようにするよ》


「馬鹿か・・・」





彼が元気に登校してくるのを、学校の奴等はみんな待ってる。

彼が会えるようにするのは、僕なんかじゃないだろうに・・・



《早く会えるようにするよ》


電話越しの彼が、少しだけ淋しそうな声を出した。






《んー・・・――本当は今すぐ会いたい

「ぇ・・・?」





突然の言葉に、僕は口をポカンッと開いた。



《ゴホッ、ゴホッ・・・ぁー、そろそろ切る。ごめん、わざわざ電話してくれたのに》

「ぁ、ぁあ。僕の方こそ、すまない・・・」


《電話アリガト。じゃーね》


プツッと切れた電話。

電話の前で呆然とする僕の手の中で電話からは、プーッ、プーッと無機質な音が響く。







「・・・・・・」


止めて欲しい。

そんな言葉を言われたら・・・



変に期待しちゃうからッ。






戻る