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家族には悪いけど、俺は今まで自分が間違っていたとは思っていない。
やり方は確かに可笑しかったかもしれない。
家族を悲しませ、エースを苦しませ・・・そんな方法しか、俺は思いつかなかった。
けど、エースをどうやってでも生かしたかったんだ。
俺は自分が間違っていたなんて、絶対に思わない。昔の俺も今の俺も・・・何より家族を愛していることに変わりはないからだ。
突然変な事を言って船を降りた俺を、家族はきっと怒るだろう。
あんなに懐いてくれたエースを置き去りに、あんなに信頼してくれた家族を置き去りに・・・
酷いヤツかもしれない。
馬鹿なヤツかもしれない。
けど、それでも――俺の信念は変わらないんだ。
だからね・・・
「エース、親父のところに帰ろっか」
手を差し出して笑えば、エースは泣きながら俺の名前を呼んだ。→戻る