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突然エースの目の前に現れた俺に、海軍が攻撃してこようとする。
「エースを殺させるわけにはいかないんでなぁ・・・」
「うわっ!?おい、リヒト!!!」
エースを横に抱え「『クイック』!」と言い走る。
背後で海軍の・・・確かセンゴクだ。センゴクの怒声が響くが、気にしていられない。
向かうは白ひげ海賊団の船。親父のもとだ。
親父が真っ直ぐこちらを見てる。
あぁ、ありゃ確実に怒ってる。
謝ったら許してもらえるだろうか。拳骨一発で済めば良いけど・・・
「待てぇ、海賊!!!」
目の前に立ちふさがる熱。
俺は渇いた笑みを浮かべた。
「・・・アンタの拳は、何度喰らっても痛かったよ」
「意味の解らんことを・・・!!!」
マグマの拳が振り上げられる。
「『スロー』!!!」
「ぐぅ・・・ッ!?」
一気に赤犬の拳の速度が落ちる。
それと同時に、俺も膝をついた。
「リヒトっ!?」
「は、はっ!こんなに連続で能力を使うのは、初めてかもなぁ・・・」
何より俺は今、自分の中の最大の能力『ループ』を使ってる最中なのだ。体力が減るのは早い。
早く、早くエースを安全な場所に――
「リヒト――!!!!」
「ぁあ・・・」
空を飛ぶ青い鳥と、地を駆ける見慣れたリーゼント。
付き合いが長い兄弟が二人、俺の名を呼びながらこちらへ近づいてくる。
二人の顔は、酷く険しかった。
俺は笑顔で・・・
「ごめん」
そう謝った。
直後にエースがマルコに、俺はサッチに抱えられ、その場を強制退場させられた。→戻る