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わからない。
この状況がわからない。
エースを庇おうと前に出た。
なのに、その更に前にサッチとマルコがやってきた。
まるで俺の行動を予測していたように、わかっていたように・・・
俺だけが現状をわかってなくって、エースはマルコに、俺はサッチに抱えられて・・・
「グララララッ!!!野郎共、撤収だぁ!!!」
親父が生きてて・・・
・・・あれ?
「馬鹿野郎・・・もうちょっとで、お前もエースも死ぬとこだ」
マルコが呆れたように言う。
「もう少し、自分のことも考えろよな。エースが悲しむだろう」
サッチが複雑そうな顔で言う。
「リヒト・・・無事で良かったっ」
エースが・・・
・・・あれ?
あれれ?
「・・・何で?」
――俺、何で生きてるの?
そう呟くと、周りの奴等の顔がくしゃっと歪んだ。→戻る