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エースを救いたかった。
エースを救えるんだったら、自分を犠牲に出来た。
全部全部エースのために・・・
けれど何時からだろうか。
俺は早く“楽になりたい”と思うようになった。
どうせまたエースは死ぬ。助けられない。この無限ループは変えられない。死んでしまう。殺されてしまう。
俺の“日記”を抱えたエースが泣いている。
ぼろぼろと、小さい子供のように泣いている。
どうして泣いているのかわからなくって、どうして苦しそうなのかわからなくって・・・
「どうしたの、エース」
そう声をかけた瞬間、頬に痛みが走った。
殴られた。
殴ったのは、マルコで・・・床に倒れた俺の胸ぐらを掴んだのは、エースと同じで号泣しているサッチだった。
「馬鹿野郎ッ、エースが無事でも、お前が無事じゃなきゃ駄目だろうがッ」
涙声。
よくよく見れば、俺を殴ったマルコも泣いていた。
珍しいなぁとサッチに胸ぐらを掴まれたままぼんやりと考える。
「リヒトっ、なぁ、リヒト・・・お前だけが苦しむんじゃねぇよ。お前は、十分やっただろう?」
十分?
エースを助けることも出来なかった俺が?
「お前っ、もうボロボロじゃねぇか!!!!」
日記・・・
あぁ、そうか。
エースの腕に抱えられている俺の日記を・・・あれを見たのか。
迂闊だったなぁ。日記なんて、気にしたこともなかったのに。
見ちゃったのか。だから、バレちゃったのか。
あーあぁ、何でだろうなぁ・・・
「お前が俺達を生かしたいように・・・俺達だって、お前を生かしたいんだ。お前に・・・幸せになって欲しい」
だったら何で・・・
「時間を元に戻せ、リヒト」
何でそんな残酷なことを言うんだろうか。→戻る