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酒でも飲んで、忘れてしまおうか。
そうだ。だったら宴会出来るぐらいの酒が欲しい。
よし、買って来よう。
俺が買ってきた酒を皆に配った。
へらへら笑いながら渡せば、皆気味悪げな顔をしたが受け取った。
じゃぁじゃぁ、皆で飲んで、いろんなことを忘れよう。
皆で酒飲んで酔っ払って可笑しくなっちゃえば、今だけは忘れられるさ。
あぁ、あぁ、忘れよう、全部全部全部・・・
ん?何お前、一人だけ酔ってねぇの?
ふーん、あっそう・・・
「お前の分はねぇよ。買ってねぇし、他の奴等から勝手に貰えばどうだ?」
何とも言えない顔で俺を見てたエースに笑顔で言った。
途端に怒りで顔を赤くするエースに、再びへらり・・・
「頼むから、俺の視界から消えてくれよ」
まだあんまり酔ってなかったマルコに横っ面殴られた。
あぁ、酔いが醒めちまう。
部屋で一人で飲み直そう。その方が良い。ずっと良い。
部屋の隅で一人で膝を抱えて、それから酒を飲んで、膝に顔を押し付けて、耳を両手で塞いで、それでそれで・・・
「・・・ははっ・・・全部忘れよう」
エース、お前はまだ末っ子のチビすけなんだから、ガキはちゃんと寝なきゃ駄目だぞ。
部屋にジョッキを置いといたから、それ一杯だけ飲んで寝なさいな。
・・・お願いだから、今だけはお前のことを忘れさせてくれよ。→戻る