×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -






ピンクの可愛らしいフリルの洋服。

胸にはふわふわのクマのぬいぐるみが抱きかかえられている。


小さな小さな可愛い可愛い・・・




「よぉ、お嬢ちゃん」




夢の中の殺人鬼、フレディはその子に向かってニヤァッと笑った。

これからその子は、恐怖におののいた表情をするはずだ。


するはずだったのだが・・・







「僕、お嬢ちゃんじゃないよ?」






「・・・は?」

その子の予想外の言葉に、フレディは唖然とするしかなかった。



「僕、男の子だよ?」

「は?ぇ、けど、その格好・・・」


「お母さんの趣味なの。学校でも女の子みたいってからかわれるの」



しゅんっとした表情をするその子はまさに女の子。

フレディは自分の耳を疑うしかなかった。


落ち込んでいるその子の可愛らしいツインテールがふるっと揺れた。






コレの何処が男の子だというのか!





「・・・飴食べるか」

「食べる」


飴を差し出せばすぐにその子は嬉しそうにソレを受け取った。



「おじちゃん有難う」

へにゃっという笑顔。

それだけでフレディ的にはノックアウトだ。


「す、好きなだけ食べな」

何時の間にやらソコには甘いケーキや紅茶が並べられたテーブルと椅子が二つあった。


わぁ!と声を上げて椅子に腰かけたその子は「おじちゃん、魔法使いさんみたい!」と笑う。

その子が椅子に座るのを見てから、フレディも椅子に腰かける。





「あのね、あのね、おじちゃん。僕ね、こんなに沢山のケーキ、初めて見たの!」

「そうか、良かったな」


相手が男の子だろうが、見た目は女の子だ。そう開き直ることにしたフレディは、ニヤニヤと笑みを浮かべながら頷いた。








「ジェイソンおじちゃんにも見せてあげたいなぁー・・・」








「・・・は?」

フレディは再び自分の耳を疑った。

今目の前のその子は何と言ったろうか。





ジェイソン?




「おいおい、お嬢ちゃん・・・じゃなかった、坊や。今、ジェイソンって言わなかったか?」



「うん!ジェイソンおじちゃんはね、お母さんがお仕事で帰ってくるのが遅い時に、いっつも家に来てくれるの!今日も来てくれたんだよ?」

「・・・ぉー、そうかそうか」


フレディは自分の顔が引きつるのを感じた。





「ねぇ、おじちゃん。このケーキ、食べても良いの?」

「あぁ。沢山食え」



「わぁい!」


嬉しそうに笑ってケーキを食べるその様子に、フレディの顔がにやける。

が、ジェイソンという名前にはひっかかりしか覚えない。




「おじちゃん、おじちゃんは何ていう名前なの?僕はね、ナマエって言うの」

「ぁー、ぁー、俺はフレディだ」



「じゃぁ、フレディおじちゃんだ!」


その子、ナマエが動く度に、可愛いツインテールが揺れる。

フレディが自分の顔がゆるむのを抑えられないうちに、そろそろ・・・





「ん・・・?」

「あぁ、そろそろ目が覚めるんじゃねぇのか?」



「おじちゃん、おじちゃん!また会える?」


「あぁ、会えるさ」

ニヤァッと笑うフレディに、ナマエはふにゃっと笑い返した。






「今度は、ジェイソンおじちゃんも連れてくるね!」


「・・・ぉ、おぅ」





ジェイソンの名を聞いた瞬間、フレディは微妙な顔つきになりながらもうなずいた。



おまけ


戻る