Chapter four

「オイ、せん!!」


「ヒッ?!」


ビックリし過ぎて、調書の文字が枠をはみ出した。
吠える様なマルコさんの呼び掛けに、心拍数が跳ね上がる。
何をしたか心当たりが無くて、目を白黒させながら顔を上げると
額に青筋を立てたマルコ巡査部長と、その奥で哀れみの表情をした
サッチ先輩が静かに合掌しているのが見える。



「な、何でショウカ?!」



思わず立ち上がり、直立不動で居ると
不機嫌な顔のままマルコさんが
入り口の方を顎で示した。



「………………ゲッ。」
「あー!やっぱり此処に居たか!」



“何とかしろよい。アイツの顔は見たくもねぇ”



ボソッと低くドスを利かせたマルコさんは
未だ入口で手を振るアレをご存知らしい。
札付き?……いやいや、それなら私も解る筈。
コクコク首を縦に振り、一礼してから走る



「何しにいらしたんです?シャンクスさん!」


「あ、ェー……顔を、見に?」


「解りました、今すぐ背負い投げを……」


「いやいやいや?!スマンッ、冗談ですご免なさい、」


「じゃあ何なんです?警察はコンビニじゃあありませんよ?解ってます?」




数時間前のラフな格好のまま、
睨む私に畏れ戦きシャンクスさんが一歩退がる
私の後ろから、マルコさんの舌打ちが響いた
……ヤバいぞ。……死ぬな、私。



「で、ご用件は何でしょうか?誰か呼びます?」


「あぁ、いや。用はもう済ました。ひょっとしたらアンタ
居るんじゃねぇかなと思ってさ。」



どんな野性的な勘の鋭さだ。
馬鹿と天才は紙一重というやつか。
……呆れて、言葉が出ない。



「私、急ぎの仕事をしているので、用が済んだのなら
お帰り頂けると(色々な意味で)助かるんですよね。シャンクスさん。」



そう言えば、あー、とか、ウーンとか、
暫く思案した挙げ句、シャンクスはポン、と
閃いた!見たいな顔をした。



「じゃあさ、アンタの名前教えてくれよ。」


「お断りします。絶対に公務外ですよね。」


「むぅ、なー、頼むよー。」


あー、何だか頭にきた。
忙しいし、マルコさんの舌打ちハンパない。
赤い髪が暑苦しい!!


「しつっこいですよ?!イイトシした大人がっ、恥を知りなさい!恥をッッ!!!」


ぶちまけた台詞の語尾に呑気なサッチ声。
「はーい、そこまでだー。」って腑抜けた声で
シャンクスの視界を遮る様に私の前へ立った。


「んだよー、ケチくせぇな。」


「あー、多分帰っといた方が良いと思うぜ?」



そのサッチ先輩の言葉に
数秒見つめあった雰囲気がして、
それからため息が一つ聞こえた。



「残念だが、そーするかぁ……。」



サッチ先輩の背中しか見えなかったから
さぞ、反省しているか、落胆してるだろうと
シャンクスが気の毒だったけれど、



「じゃーな!またな!」



そう明るく手を振る姿をチラッと見た時。
詳しくは知らないけど、
マルコさんの気持ちが解った気がした。









「マルコさん、」


「……なんだよい。」


「塩、ありませんかね。」


「……経費、使えよい。許す。」





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