波の音とか

ふとした瞬間に脳裏を電撃のように走る
そのヴィジョンは決して、好きなピンク色でもなければ
黒でも、白でもない

深い深い青

引き上げてやろうと伸ばされた細い腕は無残にも引き込まれ
フィオナは大きなしぶきを上げてプールへと落ちていった

瞬く間に体を駆け抜けた寒気を拭い去るように
握られたその手が熱く感じた。

大きな手が、大きな腕が、彼女を包み込む。

手から伝わる熱で、体に火がついたように、焦げる。


「ハァ」

とたんに吐息を漏らしたのは、決して彼女だけではなく
彼もまた、青白い顔で彼女を覗き込み、息を漏らした。


そびえる塀の切れ目、その隙間

空が青かった。


「痛かった」

「あァ?泳げねークセして、飛び込むんじゃねーよ」

「ドフィは泳げるの?」

「...ッフッフッフ」


大事なことは、そんな話ではないくせに
彼の不敵な笑みをまじまじと見つめ、彼女はまた、言葉を失った。


本当に言いたかったことは

次の日曜日、ずっと私と一緒にいてくれますか

一日中私を

愛してくれますか


ねえドフィ

ねえドフィ...






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