01




今日もうちのエース様は絶好調だ。
朝からおは朝をみて、変なラッキーアイテムを持って。
はじめは変な奴だって思ってたのに、嫌いだったのに。
秀徳に来て、真ちゃんが練習してるとこを間近で見て。
一緒に戦ってるうちに、あいつのこと嫌いじゃなくなってた。
そんなの、恥ずかしくて本人には言えねーけど。


---


放課後風紀委員会がおわり、走って体育館への道を行く。
近付くにつれて聞こえるボールの弾む音やバッシュと床が擦れる音が耳に入る。
体育館の重い扉を押し開ける。
その瞬間に、ボールが放物線を描いて俺の目の前を通り過ぎていく。
そのボールはそのまま高くまで上がり、一直線にゴールへ向かっていく。
ネットに触れることなくゴールへ吸い込まれていく。あぁ、キレイだ。

「今日も絶好調じゃん、真ちゃん。」
「俺は人事を尽くしている。当然のことなのだよ。」

今日も安定の真ちゃんと戯れている(というより俺が一方的に絡んでる)と、頭に鈍い痛みが走る。いってぇ!

「おい緑間、高尾ォ。練習中にお喋りたぁいい度胸じゃねぇか。轢くぞ?」
「げっ、宮地サン!」

ズルズルと宮地サンに引き摺られて体育館の外に放り出される。
喋ってたからって放り出すなんて!酷くないっスか!?

「まだ着替えてねーだろ。はやく練習着に着替えてこい!」

あぁ、そういや俺まだ制服だったんだった。
早く行け、とまた脅してくる宮地サンから逃げるべく部室へ向かった。


---


急いで練習着に着替え、バッシュを履いて、体育館へ向かう。
練習着が見つからなくて、思ったより時間がかかってしまっていて。あーあ、こりゃまた宮地サンにどやされそうだ。

体育館が見えるとこまできて、違和感を感じる。
普通この時間はロードワーク中のはずで、ボールやバッシュの音が聞こえるはずだ。
なのに、音が聞こえない。
もしかしたらカントクが来てるのかもしれない。
もしそうだったら、宮地サンよりどやされそうだな、なんて。

扉を開けると、コートには1人、真ちゃんの姿。
他のみんなはその周りを囲むように、緊張した面持ちで真ちゃんを見守っていて。
一体、なんだというのだろうか。

「宮地サンたち、これ、何事っスか?」
「高尾、」

いつにもまして表情の硬い宮地サン。
隣には、同じように難しい顔の木村サンと主将の姿。

「一体、何が、」

瞬間、視界の端で真ちゃんがシュートモーションにはいった。
真ちゃんお得意の、3Pシュート。
ボールは真ちゃんの手を離れ、美しい放物線を描いて──ゴールに弾かれて、おちた。


今日もあいつは完璧だった。
朝からおは朝をみて、ラッキーアイテムであるリストバンドをつけて。
左手の爪のケアもして、他のことでも全てにおいて人事を尽くしていた。
だけど一度もあいつの3Pは入らなくって。
その日から、絶対的3Pシューターの緑間真太郎の3Pは、一度も入ることはなかった。






≪|

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -