01




学校からの暗い暗い帰り道を、1人でトボトボと歩く。
あぁ、帰りたくない。
家へ帰っても、私を待っててくれている人はいないのに。

学校でも特別仲のいい人はいないし、家族には幼い頃に他界され、親戚と言える親戚もいない。
私は、1人ぼっち。

ふと上を見た。…見てしまった。
空に浮く、白い人の姿。
…てか、人じゃないよね。浮いてるし。

バチッと目があった。
…こっち見てる。ガン見してるよ。
知らないフリをして立ち去ろう、と思い、スタスタと歩き始める。

「おい」
「!?」

目の前にスッとおりてきた、白いゆうれいさん。
はっや。動くのはっや。
いま、すごくはやかったよねこの人…いや、ゆうれいさん。

「おい、女」

見れば見るほど白い肌に、2つきれいに光った翡翠が私を射抜くように見た。
…いや、そんなガン見なさらないでくださいよ。

「…貴様、俺の姿が見えるのか」
「いえ、見えません全く、はい。きれいな翡翠とか空に浮いてるゆうれいさんとか全く見てませんです、はい」

ふう、一気に言い切った。

では、とその場を去る。
できるだけ早く歩いて、前に進む。
まあ、私の足のはやさじゃゆうれいさんには敵わないけど、一応100mのタイム10秒♭なんだぞ。なめんな。

トン、と肩になにか冷たいものがのったと同時に、ズン、と重くなった空気を感じた。
なに、コレ。
ふんばらないと押しつぶされてしまうんじゃないかと思うほどの重さが、私にのしかかる。

動けないけど、逃げなきゃ。
ゆうれいさんに、捕まっちゃう。

「逃げるな、女」

その言葉を最後に、より重くなった空気をまとって、意識を手放した。


(誰か、助けてよ)




≪|

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -