09
ズン、と重くなる体。
みんなの、倒れていく姿。
ナマエから発せられる、眩いほどの光─
部屋には整理しておかれた、あらゆるものというものが飛び交っている。
「っ、一体何が…!?」
何もわからないこの状況で唯一できることは、女を止めることだととっさに判断する。
だが、この圧のせいで立つのも大変だ。
さて、どうしたものか…
クク、と隣から笑い声が聞こえた。
…グリムジョーだ。
「上等だ、女ァ!!」
剣に手をかけ笑うグリムジョーに、行かせてはダメだととっさに感じる。
こいつ、まさか…!!
「っ待て、グリムジョー!」
それと同時にグリムジョーの足が地面から離れる。
…間に合わなかったか。
藍染様にお預かりしている、不思議で、何らかの力を持つ女。
傷をつけるわけには──
だがその時、何故か女が殺られる、とは思わなかった。
あの、戦闘の顔をしている、グリムジョーの顔を見ても、なお。
「軋れ、パンテラ!!」
帰刃をして、女に襲いかかった…はずだった。
グリムジョーは何物にも触れてはいないのに、後ろに飛ばされ壁を突き破っていった。
進んだのと、まったく同じ速さで。
まるで、"そっち側に進んだかのように"
よく見れば、他の物もそうだ。
まるで"下に落ちるかのように"、"向かう方向が下である"ことを疑うこともない様子で、"落ちていく"のだ。
「そこまでだよ、ナマエ」
「藍染様…!」
「すまないが、少し眠っていてもらうことにしようか」
藍染様の仰っしゃるとおりにトン、と首元を突くと、パタンと倒れる女。
飛び交っていた物は本来の落ちるべき地面に落下し、グリムジョーも、床に、おちた。
(もしかしてこいつの能力は、)
(面白いことになりそうだ)