( On her forehead )


ドラコの瞳は綺麗な空色。獅子寮の皆は、冷徹な父親譲りの嫌な目だと言っていたけれど、彼女はそうは思わなかった。その空が今はまるっきり読めない色をしている。

「私、あなたのことをずっと待っていたの。こうして街に出て来れる日は、今日こそ会えるんじゃないかって。そして、やっと会えた」

ハーマイオニーは、目線の少し上にあるドラコの頬に右手を伸ばす。頬は不健康なまでに白く、触れるとつるりと骨張っていた。

「...僕は君が、死喰い人だった奴に付き纏われるのは可哀想だと分かっていた。でもそれでも、何度も魔法界に足を運んでしまっていた」

「そんなことない!あなたはあなた。死喰い人だったかもしれないけど、そんなこと私にはどうでもいいことよ」

「...ハーマイオニー...」

「ドラコ...私、まだ、あなたのことが、」

すっ、と また彼は人差し指を彼女の唇に置き、悲しそうに微笑みながら彼女の言葉を止めた。

「ハーマイオニー、それ以上は口にしてはいけないだろう?君には家族がある。夫がいて、子供がいて、平穏な暮らしがある。それを知れただけで嬉しかったよ。息子のこともね」

「.....」

「何より、君がこうしてちゃんと生きていてくれたことが僕にとって生きていく力になる。生きていてくれてありがとう、ハーマイオニー」

空色の瞳に、涙を浮かべたハーマイオニーが映っている。頬にある彼女の手に己の掌を重ね、「ありがとう」と告げた彼は目の前の額にそっと口付けを落とした。

咄嗟に目を瞑った彼女の前には、残り香とぬくもりを残して、彼の姿は消えてしまったのだった。



To be continued...






20150301加筆修正


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