今の時間は午後の一時二十分と、昼休みが終わって、とっくに仕事が始まっている時間。 十番隊の執務室で仕事しているのは、アタシと冬獅郎の二人だけ。 いつものように書類仕事をしていると、冬獅郎に話しかけられた。 「光理、お前に仕事だ」 「何の仕事ー? これ以上、書類仕事増やすつもりなら逃げるよ?」 「…お前、それでも三席か」 「これでも三席DEATH★」 某執事(いや、死神?)風にピースをしながら冬獅郎に言うと、おもいきり溜息を吐かれた。 前から思っていたんだけど、冬獅郎って溜息ばっか吐いてるから幸せが逃げるんだよ。 今だって朝から乱菊さんの隠してた書類の後始末に追われてる。 アタシも少しは手伝ってはいるけど、隊長各の書類仕事を三席ができるわけないから、必然的に冬獅郎がほとんどやっている。 …冬獅郎が可哀相だから言うこと聞いてあげますか。 「アタシに仕事ってなんなの?」 「現世駐在任務だ」 「…え? あの駐在任務?」 「そうだが、どうかしたのか?」 「駐在任務ならかなーり昔にやったんだけど」 「ああ、そのことか。駐在先の虚のレベルが少し高くてな、お前が適任だと思って俺が指名しといた」 「いつからホストクラブになった」 盛大に溜息を吐いてやった。 適任だと思うなら、まず最初にアタシに言ってよ。 指名しといたってことは、もう取り消しとかできないじゃん…。 ………いいこと思いついた! 「勝手に指名したこと許してあげるから給料上げて♪」 「…そんなに氷付けにされてえか?」 冬獅郎は壁に立てかけてある斬魄刀・氷輪丸に手を伸ばした。 その途端に悪寒がして、アタシはすぐさまイスから立ち上がった。 「是非とも行かせてください!」 「とっくに穿界門の準備は終わってるはずだ。さっさと行って来い」 「“星空祭”までには終わる?」 星空祭とは護廷十三隊で開かれる大宴会で、隊長から平隊員までの死神が参加する一大行事。 約五千人が余裕に収まる会場で、三日かけて行われる。 三日かけて行う理由は、護廷十三隊の機能を麻痺させないため。 基本的に宴会中は仕事をしない規則になっている。 だけど虚が現れた場合や、ちょっとしたトラブルが起きた場合は、宴会中でも仕事をすることになっている。 その時は隊長各・席官クラス・平隊員を全部混ぜて何チームかに分けて、ローテーションで任務に向かうようにしている。 その間に他の人たちは宴会を楽しむということになっている。 |