「今年も歌うのか?」
「もちろん! 今年は去年よりもたくさん歌えることになったんだ〜♪」

大宴会の合間や取りで、アタシは歌うことになっている。
小さい頃から、アタシには不思議な力がある。
アタシの歌には、聴いた人の身体の怪我や病気を治す力がある。
でも不治の病だけは治すことができない。
状態を落ち着かせたり、病気の進行を遅らせる程度のことしかできない。

それでもアタシの歌を聴きに、たくさんの人が来る。
貴族の方がわざわざ足を運んで聴きに来る時もある。
あとは月に数回は四番隊や、十三番隊隊長の浮竹隊長に聴かせに行ったりしている。
自分でもどうしてそんな力があるのかは知らないけど、そこはアタシの前世が関わっているみたい。
夢で何度か歌っているところを視たことがある。
そしてアタシの歌を聴いた人の怪我が治っていくのを何度も目にした。

アタシの歌を聴いて少しでも誰かが救われるなら、アタシは喜んで歌う。

「ちゃんと練習しろよ? 歌詞忘れたりした恥だぞ」
「いつもちゃんと練習してるもん! ちゃんと特等席で聴いてよ?」
「ああ。駐在期間だが分かり次第、地獄蝶か伝令神機で連絡してやるよ」
「念の為に駐在先に楽譜持って行こっと。…あ、行く前に四番隊と十三番隊に行って来るね!」

机の引き出しから数冊の楽譜を取り出して、それを鞄の中に仕舞った。

「四番隊と十三番隊? 何しに行くんだ?」
「長期になるかもしれないから歌いにね。じゃ、行ってきまーす」
「気を付けろよ」

アタシは返事の代わりに、にこっと笑った。







「シロちゃあああああん」
「Σど、どうした?」
「四番隊と十三番隊ってドコ!?」
「……光理が方向音痴なの忘れてた…」



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