ディーノさんが敵らしき人物を牽制したものの大人しく帰るはずもなく、ツナの頭を掴んだと思いきや鞭による攻撃を難なく躱し煙幕を放った。視界が再び悪くなったが独特の大声が耳に入ってくる。
「貴様に免じてこいつらの命は預けといてやる。だがこいつは頂いていくぜぇ!じゃあな!」
「あぁっ ボンゴレリングが……!」
先程ツナが抱えていた物を奪い取って奴は一瞬のうちに去っていった。なんとか立ち上がった武くんと獄寺くんが皆のところに走り出したので私も追うと、リボーンくんが厳しい言葉を投げつけた。
「お前らのレベルじゃ足手まといになるだけだ。とっとと帰っていいぞ。」
「「!!」」
「リボーン、なんて事を……!」
「行くぞ。葵も来い。」
こんなリボーンくんは初めてだ……。もしかすると、私が思ってるよりも状況が悪いのかもしれない。とにかくここを離れた方が良いと、ロマーリオさんが手配した廃病院に移ることに。来いと言うことは私も関係のある話なわけで、彼らが心配で後ろ髪を引かれる思いだったが同行することにした。
「おい、ちょっ リボーン!」
「本当はあいつらも感じてるはずだ。あれだけ一方的にコテンパンにされて、はらわた煮えくりかえってねーわけがねぇ。」
リボーンくんの呟きからして……また、襲ってくるのだろうか。
もやもやとする気持ちを胸に抱きながら、無事廃病院に到着。怪我で意識を失っている見知らぬ男の子の手当てもそうかからず終わり、落ち着いたところでツナが口を開いた。
「あの……この人、何者なの?やっぱりボンゴレのマフィアなんですか?」
「いいや、こいつはボンゴレじゃあない。だが一つ確実に言えることは、こいつはお前の味方だってことだ。」
「どーなってんの!?さっきの敵がボンゴレで、そーじゃない人が味方って……。つーか別にオレ、敵とか味方とかありませんから……っ」
「それがなあツナ。そーも言ってらんねぇみたいだ」
私もツナが厄介事に巻き込まれるのは不本意だ、という顔に出ていたのだろう。やれやれといった様子で話すディーノさん。そしてリボーンくんも真剣な表情で語り始めた。
「あのリングが動き出したからな。」
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