「憑依弾……?何言ってんだ?」

「クフフ、気付きましたか。これが特殊弾による憑依だと。」


憑依弾とは、その名の通り他人の肉体にとりつき自在に操れる代物だという。エストラーネオファミリーが開発したものの、使用法があまりにもムゴかったため禁弾とされたようだ。


「マインドコントロールの比ではありませんよ。操るのではなくのっとるのです。つまりこの身体は僕のものだ。」

「や、やめろ!!」


骸は憑依している獄寺くんの喉元を傷つけ、次はツナの番だと宣言した。ボンゴレのボスを手中に納めてからマフィアへの復讐を始めると告げる。


「奴の剣に気を付けろ。あの剣で傷つけられると憑依を許すことになるぞ。」

「そんな!」

「よくご存知で、その通りです。もっとも僕はこの行為を"契約する"と言っていますがね」

『ちょっと待って、それじゃ……!』


私は自分の傷を見やる。この肩に刺されたのは紛れもなくあの剣だ。まずいとツナ達から距離をとると、ビアンキの中にいる骸は雲雀くんの頬を切りつけた。


「ま、まさかヒバリさんの中にまで!!」

「おや?この身体は使いものになりませんね。これで戦っていたとは恐ろしい男だ、雲雀恭弥……」

「あっ、骸の気配が消えた!」

『雲雀く……、っ!?』


再び倒れ込む彼に気を向けた瞬間、突如頭を殴られたように意識が飛びかけた。自分の中に奴が入り込んでいるのが分かり必死に主導権を渡すまいともがく。自分の身体が自分のものでないような気持ち悪さを感じながら、とにかくなりふり構わず奴を遠ざけようと全身で拒んだ。
私から離れて、そう伝えたかったのに、自分の口から出た言葉は自分のものではなかった。


『クフフ……本当に強情ですね』

「ビアンキに獄寺くん……葵まで!?三人とも骸なのか!?」

『少し侮っていたようだ。まさかこの憑依に対抗できる人物がいるなんて思いませんでしたよ、神谷葵。この身体もどうやら動かせそうにない』

「葵……!!」

『しかし動かせずともそれで十分。さぁ、残るは君だけだ。』






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