安堵の空気に包まれていると雲雀くんが力尽きて倒れてしまった。足を引きずりながら急いで寄ると、途中から無意識で戦っていたと言うリボーンくん。余程悔しかったんだろうけど人間業ではない。やっぱり雲雀恭弥という人間は"凄い"の一言に尽きると、思わず溜息が漏れた。
「葵も獄寺くんも無理して動かないで!早く皆を病院に連れていかなきゃ……!」
「それなら心配ねーぞ、ボンゴレの優秀な医療チームがこっちに向かってる。」
「その医療チームは不要ですよ」
『!!』
「何故なら生存者はいなくなるからです。」
「てめー!!」
起き上がった骸の手には銃が握られていて、獄寺くんがツナを庇い前に出た。
が……あろう事か骸は、また会いましょうと呟き自らを銃で撃ち抜いた。
一瞬の出来事で放心するも、耳に残った銃声が現実だと突き付けてくる。しかしどうも腑に落ちなくて、私は複雑な心境でいた。
「ついに……骸を倒したのね。」
「良かった!ビアンキの意識が戻った!」
「隼人、肩貸してくれない……?」
「しょーがねーな、きょ、今日だけだからな」
「待って獄寺くん、行っちゃだめだ!!」
「え?」
急に獄寺くんを止めるツナ。するとビアンキさんは骸の三叉槍でいきなり獄寺くんを切りつけた。それをとぼけるビアンキさんは明らかにいつもの彼女じゃない。微かに感じた気配にぞくりと鳥肌が立つ。
「まさかマインドコントロール!?」
「ちげーな、何かに憑かれてるみてーだ。」
『間違いない……』
「六道……骸?」
「クフフ、また会えましたね。地獄の底から舞い戻ってきましたよ。」
死んだはずの骸、そんなまさかと動揺していると、獄寺くんがパニックになりお経を唱え始める。二人で驚いていると、ビアンキさんは唸り声をあげて動きを止めた。
『効いた、の……?』
「ビ、ビアンキ?」
恐る恐る近付いて声を掛けると、ツナの背後に獄寺くんが歩み寄った。普段通りを装っていたものの、嫌な気配が漂っている。
「獄寺く……いや、骸!!」
『避けてツナ!』
「そんな、獄寺くんまで……!!」
「ほう、まぐれではないようですね。初めてですよ、一目で僕の憑依を見抜いた人間は……つくづく面白い。」
「一体どうなってるの!?」
ビアンキさんだけでなく獄寺くんまで骸に憑かれてしまい、どうすればと冷や汗が頬を伝う。すると何か知ってそうなリボーンくんが一歩前へ出た。
「間違いねーな、自殺と見せかけて撃ったのは……。おい、憑依弾は禁弾のはずだぞ。どこで手に入れやがった」
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