ここ最近、並中生……特に風紀委員が何人も襲撃にあっている。あれから嫌な寒気はしないが、どうも関係していているような気がした。
「どうした葵、浮かない顔だな。襲撃事件のことか?」
「だ、大丈夫だって!やられてるの風紀委員だし、それになんてったってヒバリさんが居るんだからさ!」
「お前は完全にビビってるじゃねーかダメツナ。」
見事な跳び膝蹴りを披露するリボーンくん。1-Aも移動教室だったらしく廊下でばったり会った。
『夏祭りの夜に何か嫌な感じがして……。多分今回の事と関係があると思うの。』
「思うとか多分とか、根拠はねぇんだろーが!」
『うん、全部私の勘。』
曖昧な答えに獄寺くんが痺れを切らし、まぁまぁと宥める武くん。リボーンくんは何かを考え込んでどこかへ行ってしまった。
「でも葵の勘は当たるからなぁ……。」
「なんにせよオレ達も登下校とか気を付けよーぜ。なっ!」
他の話題を振り始めたところでツナがこそっと耳打ちしてきた。
「嫌な感じってその……霊とかそういうのじゃないの?」
『違う……と思う。今までに無い感覚だったの。人の意識とかそういうのじゃないのは確かなんだけど。』
所謂第六感が優れているということをあまり大っぴらにしたくない私に気遣って小声で聞いてくれたものの、あまりハッキリした返答ができなくて申し訳なく思う。授業に遅れるといけないのでお喋りも程々に皆と別れた。
しかしまぁ、噂をすればなんとやら。
「神谷葵……やっと帰ってきた。」
『私に何か用?』
「めんどいけど、仕方ない。」
「びょーん!」
後ろから迫る影を見て咄嗟に弭槍を構え、人なのか獣なのか分からない男に切りつけた。仰け反ってる隙にメガネの男に矢を放つ。
が、ヨーヨーのような武器で弾かれてしまった。
『並中の生徒を襲ったの、あなた達だね。』
「犬、殺しちゃ駄目だから。」
「おっと忘れてたびょん!チーターチャンネル!」
視界の端に入れて警戒してたはずの獣男が姿を消していた。というより凄い速度で動いている。姿が捉えきれず、急いで辺りを見回す。
『……上?!』
「おっそいっての!」
『がっ……!!』
いつの間にかゴリラのような姿になっていた相手に真上から組んだ両手を叩きつけられ意識が飛びかける。衝撃で地面に身体を打ちつけるかと思いきやそのまま腹部も蹴り上げられ、すかさずメガネ男のヨーヨーが喉元を抉るように襲い数メートル吹き飛ばされた。全身にダメージを受けて、思わず口から吐いたのは大量の血。
「じゃあめんどいけど連れてくよ。」
「へーい。」
痛みで抵抗できない私を担ぎどこかへと向かう男達。離れていく家を最後に、完全に意識が途絶えた。
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