『さてと!クラス分け見に行きますか』


桜が舞う校門で大きく伸びをして目当ての掲示板へと向かう。
今日から三年生。昨年はツナとリボーンくんのコンビのお陰でだいぶハチャメチャしたけど、並中生として過ごす最後の年だ。
それはもう色々とあったなぁ……部下を連れてないディーノさんに巻き込まれたり、10年バズーカ騒動があったり、動物園でライオンに襲われたり。そんな日々を思い出していたらいつもの気合いが入った声が聞こえた。掲示板の前では一喜一憂している生徒で溢れている。


「極限にA組だー!!」

『おはよう了平。』

「葵ではないか!お前はB組だったぞ!」

『違うクラスで残念だね。』

「しかし心は一つ!極限にボクシング部を盛り上げるぞ〜!!」

『いや私ボクシング部じゃないからね?』


三年校舎を見回すと、とても新鮮に感じた。まぁすぐに慣れるのだろうけど。
B組に入り黒板にある先生の指示を確認していると、周りがざわつき始めた。


「神谷と一緒なんてラッキーとしか言いようがないだろ……神様に感謝……」

「ほんと美脚!早く席替えしないかな〜、神谷さんの隣に座りたいわ……」

『(うっ……聞こえてないように喋ってくれないかな……。何だか恥ずかしい)』


確認した席に座って後ろを振り返って見れば、皆が避けるように離れている空間にドンと構えてる風紀委員が居た。副委員長の草壁哲矢くんだ。


『草壁くん、一緒になるのは初めてだね。』

「神谷葵……あまり馴れ馴れしくするなよ。」

『善処します。ところでずっと気になってたんだけど、その髪型って大変じゃない?セットにどのくらい時間かかるの?』

「……三時間だ。」

『そんなにかかるの?!部屋の大掃除できるわよ!』


思わず大きな声を出してしまってハッと口を押える。草壁くんもビックリしたようで目をぱちくりさせている。いやでもまさか毎朝そんな努力をしていたとは……。


「もういいだろう。前を向け。」

『いつもビシッと決まってるなーとは思ったけど……それってやっぱり気合い入れるため?』

「む……。」


少し躊躇ったあと静かに頷く草壁くん。
風紀委員は全員リーゼントだし、きっと男のこだわりなんだろうな。いつも草を銜えてる副委員長に、学ランのジャケットを羽織る委員長。どちらも落としたところを見たことないのが凄い。


「お前、風紀委員に興味あるのか?」

『え?ないない!色んな意味で雲雀くん凄いなーって思うぐらいで委員会に入る気は「わかるか?!」


今度は草壁くんが身を乗り出してきてぎょっとする。委員長の話を出したから?でもあまり褒めたつもりはなかったため、咄嗟に笑って誤魔化した。


『雲雀くん、いつもあんな感じだと副委員長は苦労するんじゃない?』

「あぁ……。だが委員長の向く方向が俺の向く方向……並盛の為に全力でサポートしてみせる。」

『熱いね。そういうの嫌いじゃないよ』

「神谷葵、お前は思ったよりわかる奴だな。」


ニッと僅かに口角を上げた草壁くん。
風紀委員の熱を大いに感じたものの、いきすぎる暴力沙汰は勘弁してほしいと切に願った。






「草壁と神谷さん、二人で大声だしたと思えばめっちゃ打ち解けてる……」

「何だよあれ……美女と野獣にも程があるっつーか、あんな生き生きしてる風紀委員初めて見たぜ。」

「くそー!草壁といい笹川といい、神谷さんのツボがわかんねー!」






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