リオンに追いつきルーティが愚痴を漏らすと、またフィリアが慌てだしたので私がいつもの事だからと落ち着かせた。神に仕えているだけあってとても優しい人のようだ。神殿を出てしばらく歩くと、ダリルシェイドの街へと辿り着いた。すぐに港へと向かって船員に話しかけると、少し遅かったようだ。ちょうど船が出たところだと言う。スタンが大きい荷物を運ばなかったか聞くと、どうして知っているんだ?と不思議がっていた。やはり船を使ったか。リオンが陛下とヒューゴ様に説明してくると言うので、私はここで皆と待っていると伝えるとリオンは頷き城へと向かった。その姿を見送り、長い旅になりそうだと小さく溜息を吐くとディムロスとアトワイトが何やら話している。どうやら是非合流したい人物がいるらしい。
詳しく話を聞こうとしたところ、リオンが早くに帰ってきたので中断して用意して貰った船に乗り込む。が、誰もついて来なかったので疑問に思い降りてみると、フィリアが神妙な顔をしていた。


「あの、皆さん、お願いがあるのですけれど……これからは皆さんと一緒に、私も戦わせてもらえませんか?神殿を出る時から考えていたんです。どうかお願いします。」

「気持ちは分かるけど、危険だよ。今まで戦った経験とかあるの?」


スタンの言う通りだ。危険だし、言い方が悪いが下手に動かれても邪魔なだけだ。フィリアは戦闘経験は無いと答えるが、大司祭を止める責任があると、どんな困難も乗り越えてみせると覚悟を露にした。その決意表明にスタンが揺らいだ時だ。黙っていたリオンが口を開いた。


「お前を連れてきたのはグレバムの面通しの為だ。それ以上は期待していない。余計な事は考えるな。ろくに武器も持ったことない人間に何ができるというのだ?この話はこれで終わりだ。さっさと乗り込むぞ」

「おいリオン!」


スタンは納得いかないといった様子で、フィリアも何とか食い下がろうとしたもののリオンの威圧的な言葉に口を閉じてしまった。ディムロスがリオンの言った事は正しいとスタンを抑えていると、ヒューゴが港へとやってきた。出航の準備を終えた事を聞くと、後は頼んだぞとだけ言って私達を見送った。もちろん私は終始睨みつけてやった。


「……ねぇリオン、何かあった?」

「別に、何もないさ。」

「シャル、後でお喋りしようか」

「シャル、絶対に言うなよ。」

『ふ、二人共顔が怖いですよーっ!』


叫んでるシャルはおいといて、リオンに向き合った。何かしらあったのは確かなのだが、少し顔がスッキリしている事からマリアンに会ってきたというのが分かった。少し痛む胸を押さえ込んで、冗談交じりで言ってみる。


「泣きたい時は泣いて、スッキリするのが一番だよ」

「ファーストネームまで……。何があっても僕は絶対に泣かないからな」


フン、とそっぽを向くリオンを見て私は笑った。それにリオンも口角を上げる。船が動き出したので出発したんだなと周りを見ると、どうやら皆は既に船の中の部屋へ入ってるようだ。私達も入ろうかと声を掛けると、しばらくここに居ると言うので先に中に入っている事にした。


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