「ふー、広いね流石に。」
走り回って見つけた小部屋を片っ端から探していたところ、金属音が聞こえてきたのでその部屋を覗いてみるとスタンがモンスターと戦っていた。そのモンスターの中にはクリスタルのようなモンスターもいて、あれが結界石という事かと理解したところでスタンの背後に潜む敵に一撃を入れる。
「ホーリーアロー!」
頭部に射った術は的中し、苦しんだところでスタンが気付き攻撃を入れた。安心した私はその場を後にして石探しに集中。先程の部屋と少し離れた所で石を見つけた私は、少し固い敵にイライラしながらも撃破してエントランスへと向かった。ほぼ同じタイミングで四人が集まったが、マリーがまだのようで少し待つ事となった。
「加勢していた分遅くなると思ったぞ。」
「何それ、見てたの?一撃援護しただけだよ。別に怒る事じゃないでしょう」
「僕は怒ってなどいない!ただ、お人好しすぎる性格を直せと言っているんだ。」
「えー……私結構いい性格してると思うけどな。状況によっては簡単に人を見捨てられるよきっと。」
「その状況とやらがどんなものか知らんが、想像できんな。」
そんなのリオンの為なら、なんて言えるわけもなく笑って誤魔化す。ちょうどマリーがやって来たので、扉を開いてみると何人か神殿の者がいた。その中の私達に助けを求めた男性は司教らしい。ルーティが状況説明を求めると、大司祭であるグレバムが反乱を起こしたと声を荒げる。それを止めに入った大司教は命を奪われたのだろう。酷く怯えた様子の司教らは、そのグレバムに投降したと言う。
神の眼の所在をリオンが聞くと、司教は驚き拒否をしたが何とか押し通して案内を頼んだ。大聖堂へ着くと司教が隠し通路を開けてくれた。この下に神の眼が眠っているという。緊張で空気が張り詰める中、スタンが先陣を切って隠し通路の奥へと進んでいった。
「な、無い!?ここにあった神の眼が!」
『遅かったか……』
悔しがるディムロスを横に、神の眼の台座を見たルーティがその大きさに驚いていた。私も神の眼を自分の中で想像していたが、こんなに大きいものだとは思わなかった。見つかったとしても簡単に運び出せるものではないな。そんな事を考えていると、スタンとマリーが石像を評価していた。そんな事をしている場合では無いだろうと声を掛けようとしたところ、司教が何やら再び慌てた様子を見せた。どうやら石化した人間だったようで、パナシーアボトルを使って石化を解いてあげた。
無事に動ける状態になったフィリアという眼鏡をかけた女性は、司教の顔を見た途端に自分を責めだした。どうやら何か知っているようなので話を聞く事に。
フィリアが必死に説明してくれたお陰で大体の状況は掴めた。そしてグレバムらがカルバレイスに向かったという事も分かったところで、行き違いにあったかもしれないと顔を歪めたらリオンも同じ事を考えていたようで、シャルと話している。スタンもスタンで、事の重大さを理解したようだ。
「女。お前は僕たちに同行しろ。」
「え……?」
「グレバムの顔を知る者が居ないと困るからな。」
それを聞いた司教が、フィリアを思って懸命に断ろうとするも、本人は強い意志を持って受け入れた。
「私、この方達と共に参ります。私は知らず知らずとは言え大司祭様に加担してしまいました。神の眼を解き放った責任を取らなければ……!」
「……分かりました。フィリアがそこまで言うのであれば。」
「有難う御座います。」
同行が決まって、軽く自己紹介が始まったところでリオンはこの場を去った。それに気付いたフィリアが不安気に声を漏らすと、ルーティがいつもの事だから気にするなと声を掛けた。私も気を悪くさせちゃってごめんなさいと伝えると、スタンがリオンを呼びながら走っていったので全員で後を追った。
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