ここ何ヶ月かで分かった事がある。
それはリオンとヒューゴ様が親子関係にある事……これには少し驚いた。失礼だが、そんな雰囲気など無かったからだ。
正直ヒューゴ様は好きじゃない。城内でよく見掛けるが、どうもリオンの事を家族として接しているようには見えず、都合良く使っているようにしか見えないのだ。私が勘違いしているだけかもしれないが。

少し歩幅を伸ばし、ちらりとリオンの顔を覗き込んでみるといつものように眉を寄せていた。思っていた以上に疲労したせいもあるだろう、少しピリピリしている。


「何だ。用があるならさっさと言え。」
「別に用は無いけど-----」


気に障ったならごめん、と謝ろうとしたが、木の裏側にモンスターの気配を感じ臨戦態勢をとった。
が、リオンは少し油断していたせいか出遅れて襲い掛かってきたモンスターに押されている。急いで敵の背後に回り斬りつけようとしたら上空に浮かぶ影を捉えた。虫のモンスターがこちらに針を向けている。確かあの針には毒が-----


「リオン危ない!!」
「、!」


私は咄嗟にリオンを庇い左腕に針をくらった。目を見開くリオンだったが、すぐ状況を理解しモンスターを撃破する。
私も左腕を庇いながら応戦していたが、そのせいですぐ身体に毒を回す事になってしまった。頭がクラクラしてきたがリオンの元へと走る。


「大丈夫だった?怪我はない!?」

「……何故庇った。あれくらい避けられた。」

「ごめん、咄嗟だったから体が動いちゃって……でも無事で良かった。あと少しで入り口付近に着くし敵は倒しきったよね、急いで戻ろう」

「お前-----」


倒れる前に早々に帰ろうと小走りで入り口へ向かおうとしたその時、ぐらりと視界が揺れて膝を着いてしまった。いけない、と気を強く持ち立ち上がろうとすると目の前に影ができたので見上げる。ああ、少し怒っているようだ。


「お前馬鹿か?毒を持っている敵だと知らないのか。パナシーアボトルはどうした」

「知ってたけど……さっき兵士に使っちゃってもう無い。死ぬ程強い毒じゃないし、リオン先に帰って報告してよ。休んでから後追うから」

「フン、とんだお人好しだな。全く迷惑な奴だ、『何言ってるんですか!ファーストネームは坊ちゃんを庇ってこうなったんですよ!』 ……。」

「え、……あれ?」


私は熱を拗らせたのだろうか。それとも新種の毒だったのか。今変な声が聞こえたのだが、まさか、そんなまさか剣が喋るわけ……。それにしても


「坊ちゃん、て……ふふっ」

「な……、お前聞こえるのか!?」

「え、何どうした、の」


ひどく驚いた顔でこちらを見るものだからこちらまで驚いてしまった。そして何だか色々聞いているようだが、くらりと私の意識はそこで途切れていった。






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