「さて…、それじゃあ次は俺の番かな?」
涼しい顔で戻ってきた律に、言葉を失くして茫然としていると大地が声をあげた。
その表情はいつもと変わらぬ笑顔で、蓬生から言わせてみればポーカーフェイスで。
誰にも真意が読めぬまま、大地はニコニコと笑顔で話を続ける。
「それで俺が当たったのは何かな?」
くじの結果を尋ねた大地に、ハルが手元の紙を確認して告げた結果は、告白だった。

「…こいつは別に今更告白させなくても、常に好きだって言ってるようなもんだろ」
ぼそっと呟いた火積の言葉に、ほぼ全員が心の中で同意を示す。
何があったか、副部長同士の繋がりしかないというのに犬猿の仲の蓬生が、同意の声をあげた。
「ホンマやわ、それやったら面白味もなんもないんちゃう?な、榊くん?」
微笑をたたえた表情とは裏腹に、何処か刺々しい言葉が降ってきて。
いつぞやの光景再来、またしても二人は笑顔で睨みあいはじめる。
「そこまでだ」
興味を失くしたようにソファに座りこんでいた千秋が、ひらひらと手を振りながらそう言って。
じ、と蓬生に視線で何事かを告げる。
観念したように肩をすくめた土岐は、小さく息をつくと千秋には敵わんなぁと呟いて。
「榊くん、ごめんな?俺にも別に悪気はないねんけど」
にこやかにそう言って、すっと人差し指を立てた。
先ほどまでとは纏う雰囲気を一変させた土岐が、ゆっくりと口を開く。
紡がれる音を、言葉を聞き逃すまいと誰もが耳をそばだてた。
「せやけど、さっき俺が言うたことはみんなもおんなじように思っとる。…せやから、どう?
いっつもみたいにストレートにかわいいて褒めたり、小日向ちゃんのことひなちゃんって呼ぶんは、ナシにせん?」

土岐からの提案に、誰も意義を言うものはおらず。
ほんの少し考え込んだ大地も、出来る限り意識はしてみるよと笑顔で答え、交渉は成立した。
そして今、大地はかなでの前にいる。


「ごめんね、いろんな人に何度も呼び出されてるのに。
…お礼、言ってなかったでしょ?お詫びも。今更だし、言い辛いから…これだけ。
君にはこれからも、星奏の1stを続けて欲しいんだ。君の音楽を、奏で続けて欲しい。
俺が、攫って…俺だけのものにするまで、ね。かなで」



嗚呼、もうほらまたそんな無防備な表情をするでしょ…ひなちゃん。
「そんなカオしないで、ね?」
自分がどれだけ恥ずかしいことを言ったのか、ひしと実感させられるから。
ホント、ひなちゃんには負けっぱなしだね、俺。
…お願いだから、ほんの少しだけ。何も言わずにこのままで。
それと頬が赤いのは、夕焼けの色に染まってるからだって思っていてね。




(大地先輩が普通に告白になりました。
闇討ち発言とかしちゃってる人が普通に告白してもね、ってことで制限付きで告白!)






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